11試合ぶり黒星-。札幌は敵地で横浜FCに0-1で敗れた。後半25分にCKからのこぼれ球を押し込まれ先制を許し、そのまま逃げ切られた。6月8日松本戦以来64日ぶりの敗戦。無得点での負けは4月3日町田戦以来19戦ぶりとなった。18勝5分け4敗で勝ち点は59のまま。2カ月ぶり敗戦も首位はキープした。2位松本が引き分けたため、勝ち点差は7から6差になった。

 天才の絶妙なFKも、ぎりぎりで阻まれた。0-1の後半35分、MF小野が放った右からのFKを、ゴール前のFW都倉が頭で合わせた。強烈なヘッドはファーサイドから対角線上に鋭く飛んだ。「あれが決まっていれば雰囲気が変わっていたのに」。最後は横浜FC・DF西河の決死のヘディングではじき出され、得点にはならなかった。

 無得点での敗戦は2月28の開幕東京V戦、4月3日町田戦に続き3度目。これまで劣勢でも盛り返してきた攻撃陣が沈黙した。四方田監督は「最後は攻めに出たが、少ないチャンスをものにすることができなかった」と振り返った。

 敗れはしたが、リスタートのスイッチを入れられる人物が、三ツ沢を訪れた。右膝前十字靱帯(じんたい)断裂で東京都内でリハビリ中のMF稲本がチームメートを激励に来た。試合前に選手全員とハイタッチし「頑張れよ」と魂を注入した。「良いところを見せたかったけど勝てなくて残念。でも切り替えてやっていかないと」と小野。今季絶望になった17番の思いを背負い残り15戦、気持ちを入れ直し踏み出していく。

 中2日での次節14日山形戦はMFマセード、DF増川の2人が出場停止。FWヘイス、MFジュリーニョも離脱中と満身創痍(そうい)だが、00年に浦和で昇格争いを経験した小野は言う。「首位にいることを忘れたらいけないが、それがプレッシャーになりすぎないよう雰囲気をつくることが大事」。勝ち続けなければという、見えない重荷はいったん下ろした。次は今季13戦負けなしのドームで白星をつかみ、終盤戦に向けた追い込み進撃に入っていく。【永野高輔】