G大阪が第2ステージ(S)の大逆転Vへ勢いに乗った。敵地で2-1と湘南に逆転勝ちだ。先発に抜てきされた192センチの長身FW長沢駿(28)が2ゴール。8月は4戦4発の大爆発で、首位川崎Fに勝ち点2差に急接近する原動力になった。第2Sは6位柏までが勝ち点3差にひしめく大混戦。2年連続のチャンピオンシップ(CS)出場権獲得へ、G大阪が加速する。日本代表のW杯アジア最終予選による中断で、次節は9月10日に行われる。

 強い雨が打ち付ける敵地で、G大阪が“湘南の風”をつかんだ。開始3分で先制を許し、逆風にさらされても諦めない。前半26分に韓国代表入りしたDFオ・ジェソクの前線へのパスを、長沢が走り込みながら右足ダイレクトで決めて同点。後半19分にはMF遠藤のCKを、再び長沢が頭で合わせた。台風10号が接近する日本列島で、G大阪が第2Sの台風の目になる予感を漂わせる逆転劇だ。

 「周りが本当にいいボールをくれた。僕1人で決めたゴールは1つもないです。まずはCSに出ることが一番の目標。そのためには第2Sで優勝しないといけない。昨年、CS決勝で(広島に)敗れて悔しい思いをしている。雪辱したい」

 体は大きくても、気は優しい。2日前の25日が28歳の誕生日。同級生のDF藤春から高級ブランド「ルイ・ヴィトン」のスマホケースをプレゼントされた。リオ五輪に出場し、傷心で日本に戻った藤春はこの日が帰国後初先発。8月は4戦4発(うち先発1)と好調の長沢は、仲間を気遣い「ハル(藤春)に勝ってお礼がしたかった」と心から言った。

 年間順位では差をつけられたが、第2Sは首位川崎Fに勝ち点2差に急接近。ステージ覇者に与えられるCS出場権獲得へ希望がつながったが、長谷川監督は「目の前の試合を勝ち続けないと追いつけない」。10月1日に2位浦和、11月3日には首位川崎Fとの直接対決を残している。MF遠藤も「それまでに少しでも差を縮められるのはいいこと」と目標を定める。2年連続のCS進出へ。大混戦の優勝争いを抜け出す。【益子浩一】

 ◆長沢駿(ながさわ・しゅん)1988年(昭63)8月25日、静岡市生まれ。清水の下部組織で育ち07年にトップ昇格。プロ入り後4年は出番がなく11年に熊本、12年に京都、13年に松本(いずれもJ2)に期限付き移籍。14年に清水に復帰するも、翌15年7月に長谷川監督に誘われてG大阪へ完全移籍した。高さと1試合で4~5キロ体重が落ちるほどの豊富な運動量が武器。192センチ、82キロ。