J2清水がミラクル逆転劇で今季初の3連勝を飾った。2-1で水戸に勝利。同点で迎えたラストワンプレーで、DFビョン・ジュンボン(25)が決勝点をたたき込んだ。FW大前元紀主将(26)は、CKから2アシストと活躍し、チームは5位から4位に浮上。J1自動昇格圏2位の松本との勝ち点差は4に縮まった。次節(25日)は松本との直接対決。勝てばJ1復帰への光が見えてくる。

 奇跡はラストに待っていた。1-1で迎えた後半ロスタイム。表示された4分を越えてCKを獲得した。「ラストワンプレーか。決めてくれ」。サポーターが祈りを込めて大声援を送る中、キッカーの大前が右足を振り上げた。「GKが飛び出せない速いボールを」。狙い通り鋭く曲がったボールはファーサイドへ。反応したDFビョンが、相手マークを振り切り、ダイビングヘッドでネットを揺らした。直後に試合終了のホイッスル。あまりに劇的な結末にアイスタが揺れた。

 ビョンにとっては、リーグ戦初ゴール。それが決勝点になり、「ボールが来ることを信じて飛び込みました」。普段はシャイで口数が少ないが、興奮で声を弾ませた。チーム恒例「勝ちロコ」ではFW金子翔太(21)とともに歓喜のダンス。「決めた自分が一番ビックリ」と照れ笑いした。

 この日はセットプレーから2得点。後半40分にはDF松原后(20)が左足で合わせて同点とした。2本ともキッカーは大前で、同点ゴールはニアサイドに蹴り込み、決勝弾はファーサイドにドンピシャで合わせた。3カ月ぶりに公式戦復帰した前節山形戦は直接FKから1得点。精度の高いキックを武器に2試合連続で勝利に導き「苦しい中でセットプレー取れると楽になる。こういう勝ち方は大きい」と胸を張った。

 クラブ新となる8試合連続複数得点を記録し、今季初の3連勝。次節は2位松本との直接対決だ。J1自動昇格圏の2位以内には絶対に勝ちたい試合だが、小林伸二監督(56)は自信たっぷりに言った。「こういう試合をすると、選手は自信がつく。信じれば勝てるということが分かったと思う」。選手、サポーターも同じ気持ちで敵地松本に乗り込む。【神谷亮磨】