浦和が5年半ぶりの「民放地上波生中継」で、Jの魅力を世に広める。

 10月1日のリーグG大阪戦(埼玉)を、TBSが生中継(一部地域をのぞく)。浦和のリーグ戦が民放地上波で中継されるのは、11年5月28日新潟戦以来となる。30日の前日練習には実況の土井敏之アナウンサー、リポーターの新タ悦男アナウンサーが訪れ、中継に備えた取材を行った。

 DF槙野は「民放の地上波で生中継していただくことは、サッカー界にとっていいチャンス」とうなずいた。CSチャンネルを契約して試合を見る熱心なファンだけでなく、幅広い層に試合を見てもらうには、地上波中継は絶好の機会になる。「ごらんいただく方に『次は会場で応援したい』『選手やチームを生で見てみたい』と思わせる内容と結果を出さないと」と表情を引き締めた。

 地上波生中継の素材としては、最高のカードだ。第2ステージの上位対決というだけではない。槙野は「G大阪戦に対して、みんな強い思いを持っている」と目を光らせる。浦和は現在、G大阪に公式戦4連敗中。しかもリーグチャンピオンシップ準決勝、天皇杯決勝などいずれも大一番で、勝ち点3を失う以上の痛恨の敗戦だった。

 14年のリーグ終盤戦でも、勝てば2試合を残して優勝決定のホーム戦で、0-2で敗れた。そして最終的に、G大阪の逆転優勝を許した。敗戦はいずれも、試合を優位に進めながら、終盤に失点してしまうという悔やまれる形でもあった。槙野は「同じ失敗はしてはいけない。このチームをたたいてこそ上にいける。そのための準備もしてきた」と語気を強める。

 「G大阪の選手が試合後に『浦和は試合終盤にバランスを崩して攻めてくるから、必ずチャンスが来ると思っていた』とコメントするのを見聞きして、毎回悔しい思いをしてきた。ただ今年は違う。今までの悔しさを糧に、チームの規律を守るという意識を強めてきた。各ポジションで求められているところを、しっかりと全うできている。そして今までとは逆に、試合終盤にかけて得点を重ねられている」

 チームは第2ステージここまで13試合10失点で、断トツのリーグ最少失点。槙野自身も大好きな攻撃参加を自制し、守備のバランスに心を砕くことが多くなった。太もも裏の負傷で直近のリーグ戦2試合を欠場したが、前節広島戦は「大事をとった」という意味合いも強かったという。

 練習後には必ず居残りで黙々とランニングを続けてきた。試合から遠ざかると失いがちな「90分を戦い切る持久力」を懸命にキープした。すべては、G大阪相手のリベンジのためだ。

 槙野は「ここでうちの真価が問われる」と言い切った。「このチームに勝ってこそ上にいける。タイトルに向けて勝つ。ホームでたたきのめす。それに尽きる」。会場を赤く染めるサポーターに加えて、民放地上波で見守る多くの視聴者を“立会人”にして、今回こそ宿願を果たすつもりだ。

 そして最後に「サポーターのみなさんにお願いがあります」と付け加えた。「埼玉スタジアムの最高の雰囲気も、地上波を通してぜひ多くの方に見てもらいたいと思います。オレたちは最高のプレーをして勝つ。サポーターのみなさんには『ここに行ってみたいな』と思うような会場の雰囲気をつくってほしいです」。サッカーの魅力を世に広めるための共闘を、熱っぽく呼び掛けた。【塩畑大輔】