新潟は磐田を2-1で敗り、第9節福岡戦以来5試合ぶりの勝利で、連敗を4で止めた。勝ち点30で年間順位は15位から14位に浮上した。1-1の後半44分、FW山崎亮平(27)がヘディングで勝ち越し点を挙げた。吉田達磨前監督(42)の解任により就任した片渕浩一郎監督(41)の初陣を白星で飾り、残留争いから1歩抜け出した。

 山崎が胸元でこぶしを握りしめた。その直後にチームメートたちが飛びかかるように抱きついてくる。試合終了間際、磐田ベンチ前で新潟の選手の歓喜の渦ができた。

 1-1の後半44分。左サイドからFW鈴木武蔵(22)が入れたクロスを、山崎が右サイドで待って合わせ、ダイビングヘッド。ゴール右隅にたたき込んだ。「逆サイドが空いている。そこに詰めるからボールを入れてくれ」と、鈴木と言葉をかわしていた。思惑通りのゴールは、山崎にとって第1ステージ第17節鳥栖戦以来、14試合ぶり。残留争いから1歩抜け出す勝利を呼び込んだ。

 15年、8年間在籍した磐田から新潟に移籍。14年以来のヤマハスタジアムでの試合だった。「特別なスタジアム。試合前は意識していた」が、「始まってしまえば普通の試合と同じ」と気持ちを切り替えた。後半20分から途中出場。ベンチで試合を観察し「相手サイドバックの裏にスペースができる」と攻めどころを見極めていた。決勝点の前まで2本放ったシュートは不発。それでも前に向かうプレーを続け、ゴールをもぎ取った。

 山崎だけでなく、チーム全体がアグレッシブに戦った。前半22分、MF加藤大(25)が縦の突破からPKを獲得。それをMFレオ・シルバ(30)が決めて先制した。前半38分に追いつかれても落ち着いていた。「もう1点取るんだ、という気持ちが全員にあった。それが山崎の得点につながった」。MF小林裕紀主将(27)が言うように、全員が最後まであきらめない姿勢を貫いた。

 勝ち点30で年間14位に上がった。同15位名古屋と1差、16位甲府とは2差。残留に向けて厳しい状況に変わりはないが、アグレッシブに粘り強く戦う新潟らしさを取り戻した内容に価値がある。「クラブにとって意味のある1勝」。片渕監督は力強く言った。【斎藤慎一郎】