川崎Fが2人の“新婚”の活躍で広島を下し、年間勝ち点首位争いに踏みとどまった。

 攻撃では途中出場のMF森谷賢太郎(28)だ。後半27分にMF大島僚太に代わって投入されると、後半39分に、相手DFのこぼれ球をペナルティーエリア外中央で拾うと、右足を一閃(いっせん)。無回転でドロップする軌道に、広島GK林は一歩も動けずゴールに吸い込まれていった。待望の先制ゴールを決めた森谷は、左手薬指の指輪にキス。8月に結婚発表した直後の浦和戦では、決勝ゴールを決め、MF中村憲剛(35)に「指輪キス」を勧められたが「まだ早いんで」とやんわり拒否していたが、この日はしっかり愛妻への感謝をゴールパフォーマンスで伝えた。

 森谷は「いつも支えてもらっているし、感謝の気持ちを込めてやりました」と笑顔。広島の森保一監督(48)も「あのゴールは素晴らしかった」と脱帽するほどのスーパーシュートだった。「練習では、常に打ててたけどなかなか試合で出せなかったのは自分の実力不足だと思ってましたし…。これで結果を出せたのはどんどん打てると思うと思う。結果を求めてやっていきたい」と話した。

 守備陣では、今季GK新井章太(27)が8試合ぶりの無失点勝利に貢献した。昨年5月、等々力で今回と同じ広島戦でリーグ戦デビューしたが、味方DFとの連係ミスから失点し0-1で敗れた。それだけに「リベンジしか考えてなかった。無失点で勝ってやろうと思って」。序盤は、いつも以上にプレスをかけてくる広島に戸惑い、何度もピンチを招いたが、新井が冷静な判断で、相手MF柴崎晃誠やFW佐藤寿人のシュートをストップした。

 正ゴールキーパーのチョン・ソンリョンが膝の骨挫傷で戦線離脱し、9月25日の横浜戦で今季初先発を務めるも、脳振とうを起こし途中交代。今季2度目の先発にあたり、今年5月に結婚した妻からは「途中交代したら、来月の小遣いなしね」と通達されていた。小遣いの額は明かさなかったが「頑張ろうと思って。本当、フル出場して無失点で勝てて良かった」とホッ。来月には第1子となる男児が誕生予定だという。生まれてくる子供にも贈る無失点勝利だった。