来季J2の名古屋からの退団が決まった元日本代表DF田中マルクス闘莉王が8日、故郷ブラジルに戻るため名古屋を離れた。

 闘莉王によれば、名古屋の自宅まで、盟友でもあるGK楢崎正剛が見送りに来てくれたという。さらに空港には、見送りを断っていた名古屋のチーム関係者や、家族同然の人たちがやって来た。

 親会社のトヨタ自動車主導で体制を一新する名古屋からは、来季契約を結ばないという通告を受けただけでなくアドバイザー就任を打診され、事実上の引退勧告を受けた。

 闘莉王は「名古屋グランパスというクラブを一生愛する気持ちは変わらない。だけど、今のところ(=チーム編成)を仕切って、権力を持っている人たちを思うと、何でそんなことをするのかと悔いが残る。その人たちが違った意味でオレのやる気の炎をともしてくれる形になるかもしれない。帰ってゆっくり考えて、選択があれば新しい挑戦をして、多くのお世話になった人たちに、また活躍する姿を見てほしい」と現役続行を明言した。

 今後、国内外問わず幅広くオファーを待つ形になるが「日本が、この人生のすべてともいえる場所」と日本、Jリーグでのプレー機会を最優先する構えのようだ。

 降格危機の名古屋を救うため緊急来日したため、生まれてから、まだ1度も第1子となる長女に会っていない。まだ見ぬ愛娘の話になった時だけは、闘い続ける男が、優しいパパの顔を見せ、対面が待ち切れないようだった。