「T・M・R」で20周年ラストマッチ昇格を決める。J2札幌は今日20日、ホーム札幌ドームで最終金沢戦に臨む。引き分け以上で優勝と昇格が同時に決まる一戦は、FW都倉賢(30)、MFマセード(29)、FWヘイス(27)のTMRトリオが、8月7日清水戦以来3カ月ぶりに同時先発濃厚。今年20周年を迎えた本家T・M・Revolutionの美声のごとく、爽快かつ勢い良く、勝ってJ1切符をつかむ。

 太いハイトーンと激しいビブラートが特長の本家に対し、札幌のT・M・Rは都倉の高さ、マセードのクロス、ヘイスのキープ力で構成される三重奏で魅了する。特にブラジル人の個人技は、堅いJ2チームの守備網をこじ開けるには大きな武器。MFジュリーニョが出場停止も、貴重なダブル助っ人の先発復帰で、攻撃力を一気に高める。

 ヘイスは10月8日水戸戦以来7戦ぶりの先発復帰。「20年のアニバーサリー。大事な1勝に自分が関われるなんてうれしい。3万人を超えるサポーターもついている。ぜひ、ゴールを狙いたい」と意気込んだ。マセードも10月22日東京V戦以来4戦ぶりの先発に「いいクロスで得点を演出したい」と前を見据えた。

 今季3人そろって先発した試合は4戦4勝。7月20日松本戦、8月7日清水戦と、今季のターニングポイントになった試合で白星をもたらしている。中央のヘイスは前線で時間がつくれ、FW内村、都倉の両得点源にとっては、ゴール前の仕事にまい進できる。都倉はヘイスについて「チームに違いをもたらしてくれる数少ない選手の1人。彼の良さを引き出せるようなプレーをしたい」と話した。

 右のマセード復活も大きい。金沢戦は、チーム最多10アシストのDF福森が出場停止。左サイドの起点を失うが、右のスペシャリストが戻ったことで、キレのある配球から、チャンスメークする。6月13日長崎戦の後半33分、ヘイスとの鮮やかなパス交換で決勝点を引き出し、今季初の逆転勝利を演出したMRラインで再度、チャンスをつくる。

 ヘイスもマセードも、本家T・M・Rを知らない。だが時折、テレビで流れる消臭スプレーのCMは目にしたことはある。「いい声だね」とマセード。最下位金沢もJ2残留をかけており厳しいゲームになることが想定されるが、札幌の自力昇格へ、必要な勝ち点は残り1に迫った。魅惑のトリオで敵のハイプレッシャーをシュッとひと吹きし、カゲキで最高な昇格劇を演出する。【永野高輔】