J2清水FW大前元紀主将(26)が、日刊スポーツに独占手記を寄せ、「1年でのJ1復帰」にかけた思いを語った。肋骨(ろっこつ)骨折と肺挫傷の重傷を乗り越えてチームを束ねた今季を振り返り、日本代表入りを目指すと宣言した。

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 今はホッとしています。ずっと言ってきた「J2優勝」は果たせませんでしたが、最低限の目標は達成できたと思います。

 苦しいシーズンでしたが、「感謝」に尽きます。サポーターには熱い応援をしてもらいました。昨年はJ2に降格し、他のクラブから移籍話がありましたが、落とした責任を感じていたし、J1に上げるために覚悟を持って残りました。

 僕自身は6月にケガをして長くチームを離れ、今も申し訳ない気持ちです。ただ、僕が抜けてからはテセさんが軸になって(北川)航也が活躍したり、金子が頑張ってくれたりと、チームが1つになっていく雰囲気を感じました。僕以外にもけが人が多く出ましたが、結果、各ポジションで切磋琢磨(せっさたくま)したことでチーム力が上がったと思います。

 復帰後は、強い気持ちでプレーしていました。ホームの試合前日は寮に泊まるようにもなりました。しっかり睡眠ができるし、ベストコンディションで臨める。少しでもチームの力になれればと思い、自分なりに考えたことです。それを理解して、協力してくれた家族にも感謝しています。

 僕なりに、J2を戦って感じたことがあります。エスパルスはどんな試合でも絶対に勝たなければいけないということです。J2に落ちた時、いろんな人から「プライドを捨ててガムシャラにやれ」と言われました。でも、僕の思いは違いました。対戦相手は清水を食ってやろうとぶつかってくる。ならば、J1でやってきたプライドを持って戦うべきだと。エスパルスは20年以上J1でやってきた伝統があるし、他のクラブとは歴史が違う。OBやクラブに関わる全ての人のために、その誇りだけは捨てずに戦ってきました。

 もちろん昇格はうれしいですが、J1でやれる権利を得られただけだと思っています。来季はJ1を楽しみたい。そして、日本代表に入れるように頑張りたいです。サポーターの皆さま、引き続き熱い応援をよろしくお願いいたします。(大前元紀)