全国高校サッカー選手権(12月30日~、埼玉スタジアムほか)の組み合わせ抽選会が21日、東京都内で行われた。全国最多42回目の出場の秋田商は、大みそかの31日に滝川二(兵庫)と1回戦で対戦。主将のMF駒野谷海人(3年)は滝川二と対戦する夢を見たばかりで、県勢11年連続で初戦敗退という負の歴史を止める。

 「鳥肌が立った。正夢はあまり見ないです」。駒野谷は驚きを隠せなかった。初戦の対戦相手は、2、3日前に見た抽選会の夢と同様に、滝川二。今大会の応援リーダーの岡崎慎司(31=レスター)の母校だ。「(夢の話は)チームメートには言っていた。『まじかよ』とびっくりしていた。今伝えたら僕と同じようにびっくりすると思う」。興奮気味に対戦相手へ思いをはせた。

 初戦は秋田県勢の鬼門だ。11年連続で初戦敗退している。小林克監督(42)は「11年勝てていないことに、今の子どもたちに何も責任はない。勝てる策を考えていく」と話した。駒野谷は「1試合1試合戦った先に、連敗を止めた結果が出てくる」と、気負いはない。

 ただ、勝利への方程式は見えている。駒野谷は「滝川二の攻撃力」と警戒するが、対策はある。「今年のチームになってから、スライディングの練習をしてきた」と、パスカットから相手の攻撃を封じる作戦だ。「赤い壁」と言われる伝統の守備力に磨きをかけたチームにとって、絶好の相手となった。「粘り強い守備からリズムを作りたい。(県勢の連敗を)ここで止めようという強い気持ちはある」と自信をのぞかせる。

 相手の大先輩にだって負けない武器もある。小林監督は「ミスをしても取り返す。失敗を前向きに捉えてチャレンジできている」と、岡崎ばりの泥臭いプレーを期待する。駒野谷も「サッカーは技術よりもメンタル面が強い。気持ちでどうにかしてやろうという気はある」と静かに燃えている。県決勝でも3点リードの終盤にミス絡みで1点差に詰め寄られたが、必死に逃げ切った。抽選会から先の夢を見ていない。次はピッチで「初戦突破」の夢をかなえる。【秋吉裕介】