欧州王者Rマドリードが2年ぶり2度目のクラブ世界一に輝いた。鹿島に一時逆転される苦戦だったが、FWクリスティアノ・ロナルド(31)のハットトリックで再逆転。欧州王者のプライドを保った。MVPに選出されたロナルドは今年、クラブでは欧州チャンピオンズリーグ(CL)、スーパー杯に続く3冠。ポルトガル代表での欧州選手権を含めれば「4冠」で、バロンドールにも選ばれた16年を鮮やかに締めくくった。レアルは賞金500万ドル(約5億7500万円)を獲得。

 白い巨人の誇りは、世界最高の選手によって守られた。ロナルドだ。逆転され1-2で迎えた後半15分にPKを決め、延長前半に2点を奪った。一時は窮地に立たされたチームを救う史上初の決勝ハットトリック。「チームの力になれて本当に満足だ。バロンドールも取れていい1週間だった。完璧な形で1年を締めくくれた」。同点、逆転、ダメ押し。ロナルドのための舞台だった。

 勝ってなお、名門の威信は大きく揺らいだ。1-1の後半7分、逆転ゴールを許して焦った。直後、FKをすぐに蹴らない鹿島に対して、世界の名手たちがいら立った。自身のPKで同点に追い付くと、ロナルドはすぐにボールを持ってセンターサークルへ駆け戻った。公式戦36試合連続無敗中の欧州王者が、島国のクラブに追い込まれていた。

 想定外の延長戦にけりをつけたのはロナルドだった。延長前半8分、鹿島の守備ラインの隙を突いてFWベンゼマのスルーパスに左足ダイレクトで合わせ、GKの股を抜きゴール左隅へ決めた。6分後、再び左足でたたき込んだ。コーナーフラッグ付近で2度、おなじみの仁王立ちポーズを披露した。「いつでもみんながクリスティアノに期待しているし、自分は一番の力を出すことを心掛けている。だから満足している」。鹿島に引導を渡した。

 今季は衰えを指摘されることもあった。36歳までRマドリードでのプレーを約束され、ここまでリーグ戦18試合で13得点。十分な数字だが、1試合平均1得点以上をマークしてきた昨季までが驚異的だったからこその批判だった。「いろいろなことを言われることは慣れている。自分の仕事をやるだけだ」。準決勝に続いて9本ものシュートを放ち、2試合で4得点で雑音を吹き飛ばした。

 マンチェスターU時代を含め、3度目の頂点に立ち、MVPにも輝いた。「夢のような1年だった」。横浜で7万人近い観衆を酔わせ、今年のロナルド劇場が幕を閉じた。【岡崎悠利】

 ▼クラブW杯でのハットトリック RマドリードのFWロナルドが決勝の鹿島戦で3得点。クラブW杯でのハットトリックは、バルセロナのFWスアレスが前回15年大会準決勝の広州恒大戦で達成したのに次いで史上2人目。決勝での3発は今回のロナルドが初。

 ◆レアル・マドリード 1902年創設。スペイン1部リーグで32度、欧州CLで前身大会を含め11度の優勝は共に最多。国際サッカー連盟に20世紀最優秀クラブに選定。00年からフィーゴ、ジダンらスター選手を集め「銀河系軍団」と呼ばれた。本拠地はサンティアゴ・ベルナベウ。