秋田商は04年度以来の白星を逃し、秋田県勢の12年連続初戦敗退が決まった。強豪・滝川二(兵庫)と対戦。前半の2失点を取り返すことができなかった。小林克監督(43)は「ビッグチャンスを最初に作ったのは、うちだった」と悔やんだ。

 最初の決定機とは、前半開始直後の右サイドからMF伊藤岳歩(3年)が上げたクロスにFW加藤敬明(3年)が飛び込んだ場面。加藤の伸ばした左足は、わずかに届かなかった。加藤は「クロスはいいボールだった。あそこはいかないといけなかった」と嘆いた。

 悔やむのは、先制機を逃したからだけではない。今年の集大成となるシーンだったからだ。チームは、連敗ストップに向けて小林監督が言う「両サイドから崩す」サッカーを目指してきた。攻撃重視で敗れた昨年度の反省から、まずは守備を重視。そしてカウンターを狙う。攻撃陣は、両サイドからのクロスをシュートする練習を毎日10本ずつこなしてきた。だからこそ、決めたかった。

 変化は、まだある。昨年からユニホームを「引っ張られないように」(小林監督)すべく、ピチピチのユニホームに変更。肩が強いDF出口陽介(2年)は、今年から、昨年注目を浴びた青森山田が用いた「飛び道具」ロングスローの練習を開始。この試合もゴール前に投げ込んだ。

 敗れたが、可能性を感じた。加藤は「失点は前半の2点に抑えたのはまずまず。どのように点を取るか。この経験を生かしてくれれば、来年は勝てると思う」と後輩たちに、連敗ストップを託した。【秋吉裕介】