尚志(福島)はルーテル学院(熊本)を後半に逆転、4-2で下した。

 仲村浩二監督(44)のゲキに、尚志イレブンが目覚めた。1点を追う後半5分に、主将のDF進藤雅也(3年)が、右CKのこぼれ球を右足で押し込んだ。同23分には途中出場のFW井上真冬(3年)が「自分のことをやるしかない。ヘディングは得意」と、右CKを頭で合わせて勝ち越した。

 1点リードを許したハーフタイム。仲村監督は「泥くさくなれ」と厳しく言い放った。開始からボールをつなぎ、きれいなサッカーを展開した。全国選手権の大舞台に「格好をつけたプレー。オレを見てくれみたいな」と同監督は話す。2得点のエースFW渡部公平(3年)は「うまくやろうと思い過ぎていた」と反省。現チームは攻守でスライディングして、短パンが汚れるようなスタイルが持ち味。実際、後半から体を張ったプレーが目立ち、反則も誘った。シュート数、直接FKとも前半の4本から後半は10本に増えた。それが逆転劇につながった。

 セットプレーは1つの課題だった。県大会はほぼ危なげなく勝ち上がったが、流れの中での得点がほとんど。大会直前の静岡遠征では「点も取れていないし、意識してやってきた」(仲村監督)。その練習の成果で、CKから同点と勝ち越し点が生まれた。1試合4得点は09年度の松山北(愛媛)との1回戦に並ぶ、チーム最多となった。

 8度目の出場で初戦敗退は07年度だけと、安定して勝ち上がる。殊勲の井上は「次がまた勝負」と、明日2日の山梨学院との2回戦に闘志を燃やした。年を越えて新たな年の17年を迎え、11年度の4強超えへさらなる挑戦が始まる。【久野朗】