夏の総体王者の市船橋(千葉)が前橋育英にPK戦の末に敗れ「夏冬連覇」の夢が絶たれた。守備陣にJリーグ内定者3人をそろえ、初戦の京都橘に続き無失点に抑えたが、勝利の女神はほほ笑んでくれなかった。

 前半は前橋育英がセカンドボール争いを制し、一方的に押し込まれた。幾度もピンチを招くも、湘南加入内定のDF杉岡大暉(3年)と新潟加入内定のDF原輝綺(3年)が最後の最後で体を張った。逆に後半は、市船橋が主導権を握ったが、前橋育英の最終ラインが足をつりながらも必死に応戦し、0-0のままPK戦にもつれこんだ。

 市船橋は第1キッカーのMF野本幸太(3年)が外したのが響いた。昨大会、東福岡にPKで敗れた反省を生かし、今大会は杉岡が中心になり、事前に蹴る順番を決めるなど、準備を重ねていた。原は「夏冬連覇は簡単にさせてくれないんだなと思った」と肩を落とし、G大阪内定のMF高宇洋(こう・たかひろ、3年)は「点が取れなかったことがすべて。1年間の課題が露呈した。去年と同じで勝負強さが足りなかった」と振り返った。

 初戦の京都橘戦で、東京五輪のエース候補、FW岩崎悠人(3年)を封じたが、心身ともに疲労の影が色濃く残った。朝岡隆蔵監督は「ちょっと体が重かったかな。2戦目がかぎになると思っていたが、スイッチを入れてあげることができなかった」と話した。ただ、今年度は夏の総体を含めて、全国舞台での失点は8試合でわずか1。市船橋の「堅守」は間違いなく、日本一だった。【岩田千代巳】