2大会ぶり19度目出場の滝川二(兵庫)が、初優勝した10年度以来の6得点で大分に圧勝した。今大会前に主力の背番号から“降格”を言い渡された17番FW溝田大輝が2点、14番FW江口颯(はやて、ともに3年)が1点を挙げる活躍だった。

 1-0の前半39分、江口が貴重な追加点を挙げると、後半16分から途中出場の溝田は同34分、39分と立て続けにゴール。2得点のFWは「いい形でゴールが取れて良かった」と満足そうだった。

 2人は悔しさを糧にした。大会前、松岡監督から背番号が発表された。兵庫大会では溝田がエースの11番を、江口が7番を背負っていた。しかし、監督から告げられたのは今まで自分たちが背負っていた番号と違っていた。江口は「(9番の)山田とか(主将で5番の)今井とか信頼されている3年生は1桁のままだった。悔しい思いがある」。

 さらに兵庫大会決勝ではそろって先発出場していたが、今大会1回戦の秋田商戦は江口が先発落ち、この日は溝田が先発落ちした。「11番の方が良かった。見返してやるという気持ちになった」と溝田。10年度、滝川二が初優勝した時の主将の背番号が「11」。溝田は当時12歳だったが、全国制覇した格好いい先輩を目標にすると決めていた。「滝二に入ったら11番をつけたいと。それが幸せなことだと思った」。全ての悔しさをぶつけて4大会ぶりの3回戦進出へ導くゴールを挙げた。

 2度目の全国制覇に近づいた。初優勝時は駒場(東京A)との1回戦で6得点し、快進撃を続けた。この日の6得点も吉兆のサインかもしれない。佐賀東との3回戦へ、松岡監督は「6点はできすぎなくらい。佐賀東は最後の最後まで全力でやる。チームに貢献する選手を使いたい」。発奮材料を力に変えて、滝川二はたくましく戦い続ける。【小杉舞】

 ◆滝川二 1984年(昭59)に創設の私立共学校。難関大学を目指すコースとプロアスリートを目指すコースに分かれる。サッカー部も同年に創部。15年度から松岡徹監督が就任し、2年目。現部員70人。主なOBは女子ゴルフ堀琴音、レスターFW岡崎慎司、鹿島FW金崎夢生ら。所在地は神戸市西区春日台6の23。