ゴールラッシュが止まらない。青森山田が聖和学園(宮城)を5-0で下し、8強入りを決めた。前半32分にJ2千葉への加入が内定しているMF高橋壱晟(3年)が2試合連続の先制弾。OBの鹿島柴崎をはるかに超える同校最多得点記録の大会通算6点目で流れを引き寄せた。チームは前日2日の鵬翔戦でも5得点しており、2戦10発。高円宮杯に続く2冠獲得へ、勢いが増した。

 口火を切ったのはMF高橋だった。前半32分、右サイドからのMF郷家のロングスローがつながった。敵陣ゴールラインから約7メートル手前の右サイドから約20メートルの遠投をDF三国が頭で1度浮かせる。最後は待ちかまえた高橋が空中戦に競り勝ち、頭でゴールへとねじ込んだ。「難しい試合の中で先制できてよかった」と前日の鵬翔戦に続く、2戦連続の先制弾を喜んだ。

 1発がチームに勢いをもたらした。高橋の先制弾からわずか10分の間にMF嵯峨、FW鳴海も得点するゴールラッシュ。前半を3得点で終え、試合をほぼ決めた。黒田剛監督(45)も「出来すぎの結果。3点目はおまけみたい。良い感じでリスタートから点が取れた」と目を細めた。後半もゲームを支配し、終わってみれば5点の快勝だった。

 記録を打ち立てた。高橋はこの試合の得点で大会通算6得点目で同校最多得点を更新。OBの鹿島柴崎ですら2得点に終わった大舞台で、ゴールを量産している。「正木コーチの記録を塗り替えられたのでうれしいです」と指導を受ける正木昌宣コーチ(35)が記録した5得点を上回り、顔をほころばせた。

 一撃の精度にこだわる。「1本1本の質、感触を求めてやってきた」と練習では1回ごとのプレーに集中。雪国の青森で練習できる期間が短いことを意識し、ムダなく取り組んできた。J2千葉入りが内定しているが、「今は選手権のことしか頭にない」と目の前の試合に全力を尽くす。

 チームはこれで2戦10得点。明日5日、準々決勝で正智深谷(埼玉)と対戦する。高橋は「まだ試合は続くので点を取りたいです」とさらなる記録更新と勝利を誓った。【島根純】

 ◆高橋壱晟(たかはし・いっせい)1998年(平10)4月20日、青森市生まれ。造道小時代は青森FCでプレーし、青森山田中3年では主将を務め、U-15日本代表候補に選出。今年はU-19日本代表に選出された。昨年の選手権では4ゴールで得点ランキング2位。最近好きなアニメは「宇宙兄弟」と「ハイキュー!」。180センチ、75キロ。