聖和学園(宮城・東北2位)は神村学園(鹿児島・九州2位)に0-1と敗戦。3月で定年退職する国井精一総監督(65)の有終の美を飾れなかった。

 お家芸の華麗なパス回しが鳴りを潜めた。相手のプレッシャーに伝家の宝刀を抜けず、課題にしていたCKから失点。シュート2本の完封負けにMF下山莉子主将(3年)は「自分たちのサッカーができなかった。力不足。国井先生にメダルをかけてあげたかった」とうなだれた。国井総監督も「悔しいけどこれが勝負です」と肩を落とした。

 85年に監督に就任し「美しく、しなやかに」をテーマに伝統のパスサッカーを展開してきた。指導歴32年目の国井総監督は「パスは未来へのメッセージ、リボンをつけて相手に渡す感覚でパスをしろと教えてきた」と回想した。同大会に25回連続出場し、初戦敗退は1度だけ。第1回大会(92年度)を始め計3度の優勝を果たした。3月に定年退職するが、引き続き総監督の立場で指導に当たる。

 昨年4月には教え子の元なでしこジャパンGK曽山加奈子氏(29)に監督の座を譲った。曽山監督は「球際で負けていた。そう簡単に優勝できない。もっと強さを足していきたい」と意欲を見せた。今大会では、従来のパスサッカーに守備の意識を植え付けた新機軸を見せた。「新生聖和」が、新たな歴史をつくり出す。