4強進出を決定付けるPKを決めた前橋育英(群馬)のFW人見大地(3年)が、応援席に向かって全力で走った。1-0の後半37分、速攻からドリブルで切れ込んで得たPKを落ち着いて決めると感情を爆発させた。「応援団のためにという気持ちが大きかった」。練習を共にしてきた仲間への感謝を口にし、うれしそうに大会初得点を振り返った。

 1年時は応援団長を務めた。開幕前の11月28日の練習中に右膝靱帯(じんたい)を断裂し、全治3カ月。大会中の入院を余儀なくされたが、「(応援に)責任を持ちたかった」と、試合当日は一時退院し、両親に会場まで送ってもらった。膝にサポーターをつけたまま応援団を先導し「いつも声がかれていました」。憧れていた先輩たちの準優勝を目に焼き付けた。

 2年時も主力にはなれなかったが、午後6時から1日約2時間の自主練習を重ねて、夏を過ぎてから1軍にはい上がった。今や前線で体を張る179センチの背番号24の存在感は大きい。後半に決定機を逃し続け、山田監督が「追い付かれてPK負けが頭をよぎった」と振り返ったほどの嫌な流れを断ち切り、2大会ぶりの4強に導いた。【岡崎悠利】