青森山田が正智深谷(埼玉)を3-1で退けて、2大会連続の4強入りを決めた。夏の全国高校総体得点王のFW鳴海彰人(3年)が、前半13分に3試合連続得点となる先制弾を決め、大会4得点目で得点ランキングの単独トップに立った。7日の埼玉スタジアムでの準決勝は東海大仰星-青森山田、前橋育英-佐野日大の対戦となった。

 鳴海は両腕を広げてほえた。前半13分、右サイドからのクロスに反応した。ファーサイドへと抜け出し、フリーとなるとGKとの1対1。ボールをコントロールすると後は左足で流し込むだけだった。今大会首位の4点目となる先制弾に、憧れのRマドリードFWロナルドをまねたポーズを決めた。「Cロナみたいにゴールをハンパなく決めたい」と、うれしそうに振り返った。

 求めるのはロナルドのような威圧感だ。試合前から相手をのみ込もうと、ユニホームの袖をまくって半袖にする。「整列の時からびびらせる。アイツとは当たりたくないと思わせたい」と、寒さに関係なく、自慢の上半身の筋肉を見せつける。ベンチプレスは最高100キロを持ち上げ、練習後に寮の部屋で腕立て500回、腹筋は700回。磨き上げた体でひるませる。

 肉体改造に成功していた。8月末に右足のかかとを骨折。リハビリ中に食生活を見直した。「Cロナのような体になりたい」と心がけるのは低カロリー高タンパク。鶏のささみと野菜を多く摂取し、筋肉量を維持しつつ体重を7キロ減の75キロに。50メートル走6秒1の脚力にキレが増した。

 エースの自負がある。夏の高校総体では7得点で得点王を獲得。「夏も得点王をとったのに冬もとらなかったら、まぐれだと思われる。自分の実力を見せつけたい」と意気込む。ゴール前では「俺が決める」という気持ちでボールを要求する。主将のMF住永は「点を取れるポジショニングがうまいし、仕事をしてくれると信じてボールを出している」と話すなど、信頼は厚い。

 初戦の2回戦から3試合連続ゴール。鳴海は「得点王を取りたい。点を取ってチームを助けたい」と“夏冬”の得点王を誓う。準決勝からの舞台は埼玉スタジアム。「見られるのは大好き。気持ちいい」と大観衆の前でのパフォーマンスを重ね、悲願の初優勝をつかむ。【島根純】

 ◆鳴海彰人(なるみ・あきと)1998年(平10)4月19日、北海道生まれ。小学生の時に静内山手FCでサッカーを始める。静内中から青森山田高に進学。高校サッカー選手権では前回大会で2得点。卒業後は仙台大へ進学予定。好きな食べ物はカキフライで「ソースは何もつけず、かんだ時の濃厚なジューシーさを楽しむ」という。175センチ、75キロ。血液型A。スパイクのサイズは26・5センチ。