サッカーの全国高校選手権は今日9日、埼玉スタジアムで決勝が行われる。高円宮杯U-18チャンピオンシップ王者の青森山田と、2大会前に準優勝した前橋育英(群馬)が激突。ともに通算20度以上出場で優勝経験はない。

 OBの故松田直樹さんの「闘魂」を継承し、前橋育英の最終ラインが17大会ぶりの無失点Vを誓った。発熱のDF後藤田に代わり、先発する可能性が高いDF小山翔(3年)は「前線は必ず点を取ってくれるので、無失点なら優勝できる」と決意を口にした。

 山田監督は守備陣に日本代表でもプレーした松田さんの逸話を言い聞かせている。「松田はうまくはなかったけど、闘う気持ちだけは人一倍強かった」「毎日、ヘディングの自主練習を100本やっていた」…。小山は「僕たちに比べたら、松田さんはめちゃくちゃうまかったはず。だからこそ、闘う気持ちを松田さんの数倍、持たなくてはいけない」。2年生DF角田も「何が何でも球際で勝つ」と続けた。

 夏の総体県予選で初戦敗退後、152人の全部員とスタッフでミーティングを行った。選手から「紅白戦を増やして主力を入れ替えてほしい」との意見が出て、指揮官はそれを受け入れた。角田とともに紅白戦でチャンスをつかんで、先発に定着したDF松田陸は「市船橋に無失点で終えられたことが自信になった。相手はロングスローが武器。体を寄せて封じたい」と意欲を見せた。【岩田千代巳】