青森山田FW鳴海彰人(3年)が、青森の“熱男”になる。青森山田は8日、今日9日の前橋育英(群馬)との決勝へ、都内で約1時間半練習を行った。得点時に大好きなRマドリードFWクリスティアーノ・ロナルド(31)のポーズのまねで今大会話題の男は、ホームランを放つと「熱男~!!」と叫ぶことで有名なソフトバンク松田宣浩内野手(33)のファンでもある。松田同様に熱い男が、優勝&得点王獲得を狙う。

 気温4度と肌寒い中、鳴海はソフトバンク松田について語った。「大好きです。熱いところが」。動画サイトで見つけた松田がホームランを打つ度に「熱男~!!」と叫ぶシーンが30回も流れる動画集を、今季から試合前に見ている。その影響で、ゴールしたときに見せたRマドリードFWロナルドの仁王立ちポーズの際には「熱男~!!」と絶叫した。松田の魅力に、すっかり取りつかれている。

 元から闘志あふれる熱い男だ。北海道生まれで、寒さはお構いなし。真冬でも長袖のユニホームをまくっている。2日に1回行う腕立て伏せ500回と腹筋700回で鍛え上げた肉体で相手を威嚇するためだ。黒田剛監督(46)は「鳴海だけ半袖だな」と笑う。

 全員がサッカー経験者の5人きょうだいの4番目。母静香さん(46)は「負けず嫌いでした」と、鳴海の中学時代を振り返る。5人で「筋トレのような遊び」(母静香さん)を繰り返しては、年下の鳴海はいつも負けていた。それでも挑み続けた。この遊びが、今のプレースタイルにつながっていると母は懐かしむ。

 準決勝はあまり中盤から動かずに精彩を欠き、無得点。終了間際に交代させられた。黒田監督から、「得点王を意識してしまっている。性格が出てしまっている。黒子に徹して走り回ってくれ」と注文をつけられた。鳴海は「プレスをかけたり献身性を出したい」と反省。本家熱男は自慢の打棒と献身的プレーで、チームを3度の日本一に導いた。本家のように、優勝のためにチームプレーを心がける。

 現在4得点で、チームメートのMF高橋壱晟(3年)と並び得点ランク首位。得点王について聞かれた鳴海は、「高橋と2人で話し合ったんですけど」と言った後に、目を輝かせてこう続けた。「2人で1点ずつとって、2-0で優勝したい」。仲間とすべての喜びを分かち合い、決戦に挑む。【秋吉裕介】

 ◆鳴海彰人(なるみ・あきと)1998年(平10)4月19日、北海道新ひだか町生まれ。小学生時に静内山手FCでサッカーを始めた。家族は両親、兄2人、姉、弟。175センチ、70キロ。好きな曲は、ヒップホップミュージシャン・AK-69の「ロッカールーム」。