前橋育英の山田耕介監督(57)は、2年ぶり2度目の決勝進出も準優勝に終わり「みんな(他の指導者)から、いつも勝負弱い、日本で一番、勝負弱いと言われる」と苦笑した。就任33年目で、4強進出は今大会で6回目、決勝進出も2度目だったが、それでも勝てなかった。試合後の会見で、記者から「なぜ勝てないのか?」と聞かれると、複雑な心情を吐露した。

 「どこか、甘いところがあるんですかね。失敗は1つ1つ取り除いていけばいいし、取り除いていっているつもり…でも、まだ取り除くところがあるんですかね。辛抱するメンタリティーの強さがあれば(失点の)4、5点目はなかった」

 今回のチームは、16年6月の高校総体群馬県大会初戦の4回戦で敗退するなど、夏の時点では“史上最弱”とも言われた。攻撃のコンビネーション含め、どうプレーしていいかも分からなくなるほど自信を喪失した選手たちと話し合い、基本的なコンビネーションを再構築し、弱かったヘディングと体幹を鍛えるトレーニングを毎日、続けた。「最初はパスができず、つながらない。コンビネーションプレーと高さが弱いから鍛えて、通用するようになって自信をつけて、夏過ぎから光が見えた。パスが、どんどんつながるようになった」と、自信を回復して選手権に臨んだ。

 決勝は前半から、パスをつなぎ人も走る、人とボールが動く攻撃サッカーで、青森山田を押し込んだ。青森山田ゴール前で、GK広末陸(3年)と1対1になる場面を幾度も作ったが、決めきれず、前半23分に先制を許した。そして、同45分にゴールエリア内で、DF角田涼太朗(3年)がパスを受けて決定的なシュートを放ったが、同点の機会を逸した。その1分後に、2点目を許した。山田監督は「前半10分は、うちのパッシングで行けると思った。2点目が1番きつかった。その前にビッグチャンスがあった…きついな、これは流れが悪いと思った」と顔をしかめて振り返った。

 ハーフタイムに選手には「3点目が入ったら、勝負は終わるよ。下向いていてもしょうがない」とゲキを飛ばしたが、後半14分に、その3点目を決められた。「GKの1発ボールを気を付けていれば…」と警戒していた、GK広末のキックを起点に決められた。山田監督は「(警戒していた)その通りにやられた。集中力が切れてしまったたが、それでもやらないと。ものの見事にやられた」と唇をかんだ。

 試合後のロッカールームで、選手に「夏の総体の県予選初戦で敗退してから、成長して準優勝してくれた。今年、力がなくて1歩1歩、進んだんだから胸張って群馬に帰ろうぜ。でも0-5は忘れてはいけない」と声をかけたという。「彼らは(0-5大敗を)一生忘れない…私も忘れないと思う。来年、もう1回チャレンジしたいと思う。いい選手がたくさんいる」と、決勝でのリベンジを誓った。【村上幸将】