MF中村(磐田)を失った横浜が波乱の船出を迎えた。新体制発表会見が15日、横浜市内で行われ、いまだ契約を更新していないFW斎藤学(26)は「17年シーズン選手一覧表」に唯一グレーの文字でつづられる異例の事態。斎藤には国内外のクラブからオファーがあり、残留要請している横浜の強化担当は見通しを「分かりません」と語った。背番号は中村が背負った10とストライカーの象徴である9が空いたままで、11の斎藤も移籍すれば攻撃の3本柱が不在となる。

 チームの顔を失った横浜の新体制発表会見で、異例の事態が起こった。488人のサポーターが見守る中、今季の選手一覧がスクリーンに映し出された。新加入は赤文字、背番号が変わった選手は青文字、既存の選手は黒文字で表示されていたが、契約を更改していない斎藤だけグレーの文字で表示されたのだ。

 おまけに中村が長年背負った背番号「10」と、サントスに期限付き移籍したFWカイケがつけていたストライカーの「9」は空き番号だった。利重孝夫チーム統括本部長は「まだ契約が終わっていない選手がいるが、基本的にこのメンバーで戦っていく」と話すも、攻撃の中核である「9」「10」「11」が不透明のままの新体制。昨季リーグ戦ではチーム53得点のうち、斎藤が10得点、中村とカイケが4得点ずつと、3分の1を占めた3人だけに、その影響は計り知れない。

 斎藤は欧州でのプレーを熱望し、国内でも川崎Fが正式オファーを出している。利重本部長は「海外移籍も含めた形で聞いている。我々としては残ってほしいという話をしている。辛抱強く待たせてもらっている」と説明した。チーム編成では「左右のサイドアタッカーにストロングポイントを置く」と強調したが、左サイドの斎藤が抜ければ、その根幹が揺るぎかねない。斎藤の残留の可能性を聞かれても「分からないです」と歯切れが悪かった。カイケの移籍で外国人枠は1つ空いており、同本部長は「枠は必要とあれば使う。3月31日までウインドーは開いてます」と話した。

 3季目に突入するモンバエルツ監督は「ACL出場とカップ戦でのタイトル」を目標に掲げた。この日付で新社長に就任した古川宏一郎氏(41)は自己紹介にとどまり、中村の移籍についての説明はなし。サポーターからの質問もなく平穏に終了したが、波乱含みの船出となった。【岩田千代巳】