浦和から加入したFW石原直樹(32)は、“憧れの人”ゆかりの地で復活を期す。仙台は21日、鹿児島キャンプ(4日目)で初めて11対11のゲームを実施した。左足でゴールを決めた石原は、広島時代のチームメートで現J2名古屋FW佐藤寿人(34)を尊敬する。浦和での2年間は出場機会に恵まれなかったが、佐藤が大活躍した仙台で再起し、攻撃の軸として優勝争いに導くつもりだ。

 2トップとシャドーで実績を残してきた石原が、仙台で望んだ「フィニッシャー」の役割。この日その願いはかない、3-4-3の1トップで出場。しっかりとゴールを決めた。「自分というものがしっかりと出せるチーム」と語る通り、早くもシステムへの適合性を証明した。

 石原は昨季、故障のため満足なプレーができず浦和での2年目を終えた。「選手として試合に出ていないと評価されない」とくすぶっていたオフ、渡辺晋監督(43)から「やり返してやろうという思いが強いはずだ」と移籍を説得された。「その通りだった」と移籍を決断した。

 仙台には縁を感じている。石原が尊敬する佐藤は、03年から2年間仙台に所属。1年目にリーグ戦9得点を決めるも仙台はJ2に陥落。だが翌年完全移籍して20得点を挙げ、今も仙台を象徴する選手だ。

 この日の1トップは、広島時代に佐藤が途中交代した時に石原が担った位置でもある。

 石原は佐藤の技術だけでなく、人柄も尊敬する。「身長も足(の速さ)も特別よくはないのに、あれだけ結果を残している。アシストしたりゴールを譲ってくれたりした選手を、個人的にご飯に連れていってくれる」。広島時代の思い出を懐かしそうに語った。

 佐藤は今季名古屋に移籍して、J1昇格に向けてチームを鼓舞する。必死な兄貴分と自身を重ねた。「僕も試合に出てチームを上に上げたいというか、タイトル争いをしたい」。佐藤の踏ん張りに後押しされた。「寿人さんに(たくさんのゴールを)見せたいという思いがある。楽しみなことしかないですね」。背番号「11」以上の点数を誓い、先輩が輝いた地で再起を狙う。【秋吉裕介】