仙台は鹿児島キャンプ8日目の25日、今季初実戦となる東海大熊本との練習試合(30分×4)を行い、計11-0と圧勝した。3本目から出場したMF奥埜博亮(27)がハットトリックを達成した。

 奥埜は左シャドーと1トップでプレーした。3本目の10分にCKを合わせて1点目。4本目の2分にはMF茂木駿佑(20)のクロスを右足で流し込んで2点目。同30分にもDF永戸勝也(22)のクロスを右足で合わせて3点目を挙げた。新システム「3-4-3」で臨んだ初実戦での大活躍に、奥埜は「ゴールを取れたことに関してはよかった」と満足した。

 今季にかける思いは強い。15年に期限付き移籍先の長崎から復帰すると開幕スタメンを勝ち取り、7得点。攻撃の軸としてチームの主力になった。だが昨季は4得点と振るわなかった。クラブは今季、大規模な補強を進めた。FW石原直樹(32)平山相太(31)クリスラン(24)、MF中野嘉大(23)が加入。奥埜のライバルは増えた。渡辺晋監督(43)は「1トップと2シャドーはいい競争」と、レギュラーは白紙と明言している。

 激しい競争になるのは、奥埜も理解している。「前の3枚でやりたい。ゴールやアシストを練習試合から出していかないと、試合に出られない。アピールしたい」。目に見える結果に強いこだわりを持って、キャンプに臨んでいる。

 そのアピールは、早速届いた。渡辺監督は「(ライバルが増えて)危機感はある意味必要だ。彼の良さが出た60分だった」と高く評価した。

 11月初めに公式戦を終えた昨季の悔しさも、奥埜を奮い立たせる。「天皇杯もクラブW杯も見た。そういう場所でやりたい」。憧れの場所に立つためにも、「2桁を取れればいい」と自己最高成績を上回る活躍を誓った。