J3福島の田坂和昭新監督(45)は、初陣で完敗を喫した。それでも「(前、後半ともに)25分過ぎから足にきてボコボコやられたり、置いていかれる場面はあったけれど、最初の20分は非常に意識が高く、選手が意図的にやってくれて、ありがたい。よくやってくれた」と笑みを交えながら選手を評価した。

 16日に福島市の十六沼公園で始動した段階で、攻守にわたって集団でプレーし、ボールを動かす“密集”をチーム戦術として掲げた。ただ積雪の影響で、この2週間は屋根付きフットサルコートなど、室内での練習が続いた。天然芝でのプレーは、湘南戦が今季初めてで、選手はコンディションはもちろん、ボールを蹴る感覚も整っているとは言えない状況だった。

 28日に平塚に到着後、すぐに選手に攻守のコンセプトをまとめた1時間の映像を見せた。始動から2週間で、監督自身「選手のコンディションも力量も完全には分からない」状況だった上、20人の登録選手のうち2人が故障し、練習生を6人も連れてきていた。それでも、特に守備面で、集団で守る密集戦術を選手に伝えた。試合では、湘南の連続攻撃を受けたが、選手は各所で集団になってプレスをかけて、体を張って守りにいった。

 攻撃面でも、特に相手の動きに慣れた後半は、近距離でのパス交換から、いい形を幾つも作った。田坂監督は「攻めもコンセプトを見せた。(選手間で)いい距離間の時はチャンスがあった。意図的にやろうとしている」とした。その上で、後半から出場し、好機に右サイドから左サイドまで走って攻撃での密集戦術を体現した、MF星広太(24)を名指しで評価した。

 古巣の湘南が30日からスペインで合宿を行うため、湘南の練習場所を借りてキャンプを張る。田坂監督は「ここからがキャンプ。戦術的にも良くしていき、開幕までに間に合わせられれば」と、3月11日のYS横浜戦(ニッパツ)を見据えた。【村上幸将】