東京が4日、宮崎県都城市の高城運動公園で2次キャンプをスタートした。3週間後に迫ったJ1開幕の鹿島戦(25日、カシマ)へ、焦点は新加入のFW大久保嘉人(34)の起用位置。篠田監督は1トップ、トップ下、2トップと可能性を広げて期待した。大久保中心の「王様システム」を、昨季の韓国Kリーグ王者FCソウル、一昨年J1優勝の広島などとの練習試合を通して構築していく。

 新エースへの期待の表れだった。例年の5倍となる約500人が詰めかけた中、大久保嘉の宮崎・都城での2次合宿が始まった。「すごい人だね。初めて来たけど、恵まれた環境だよね」。昨年6月に完成したばかりの屋内競技場をバックにピッチを走り込み、鋭いパス回しで沸かせ、サッカー教室で児童と交流した。

 高い注目度の中、進められるのは大久保嘉を中心に据える作業だ。先月の沖縄・国頭合宿までは均等に出番が与えられたが、開幕の鹿島戦に向けて戦術のすり合わせが本格化。8日のFCソウル、9日の横浜、12日の広島との試合で、J1最多171得点のストライカーをどこで生かすかが試される。篠田監督は「相手に脅威を与える存在で、1トップでも(トップ下に)下がってもいい。2枚(2トップ)も選択肢にある」と言い、合宿でテストする構え。攻撃の軸として、フィニッシュにもゲームメークにも絡む「王様システム」の可能性を探っていく。

 大久保嘉も「自由にやって、ゴールに向かう形を突き詰めていきたい」と縦横無尽の働きを予告。その上で「思った以上に良いクロスが入ってくる。俺が合わせにいきたい」とも話し、攻撃の全権を握っても「裸の王様」になるつもりはない。生まれ育った九州での9日間で、自身とチームが輝く形を探る。【木下淳】