仙台は11日、宮崎・延岡キャンプを打ち上げた。15日間にわたった2次キャンプを終えて渡辺晋監督(43)は「新しい選手から既存の選手が刺激を受けている」と新戦力に高い評価を与えた。特にMF中野嘉大(23=川崎F)の魅力を冗舌に語った。クラブは2日間のオフ明け後、14日から22日まで宮崎市内で3次キャンプを行う予定だ。

 渡辺監督は中野の魅力を熱く語り出した。「90分2試合を走りきった。技術がある選手があれだけ走る」。中野が主にプレーするウイングバック(WB)は運動量が物をいう。新布陣「3-4-3」でWBは、守備時には自陣に下がり、攻撃時には全力で前線に駆け上がる。そんな過酷な位置でのフル出場に、指揮官も舌を巻いた。

 中野はJ2名古屋風間八宏監督(55)の門下生。筑波大、川崎Fで同監督に師事し、ドリブルの精度を高めてきた。その高い技術に仙台の「走るサッカー」が加わった。「うちの走るサッカーにも意欲的に取り組んでくれる。日本サッカーに発信して欲しい」と、大きな期待を寄せる。

 ライバルがいる。渡辺監督は、法大卒の新人DF永戸勝也(22)の名を挙げ「(中野と)いい争いをしてくれている」と、左WBのレギュラー争いを促し、2人を併用し切磋琢磨(せっさたくま)させてきた。さらに、甲府との練習試合(10日)で中野は、右WBにも実戦初挑戦。連係を確認しながら積極的にプレーし「右はクロスも上げやすい。両方やっても問題ない」と自信を示す。

 指揮官は攻撃陣を引っ張る新加入FW石原直樹(32)にも期待を寄せる。4戦3得点と1トップ最有力候補の石原について、「システムを変えるにあたって、戦術を踏まえて彼自身が体現しているし、周りに伝えている」。広島と浦和で3トップの攻撃を肌で感じてきただけに、言動にも説得力がある。

 新戦力2人の台頭は、昨季にはなかった明るい材料だ。渡辺監督は「頭の中ではいろいろなものが見えてきた」。新しい戦術のオプションは、間違いなく増えている。【秋吉裕介】