FC東京ユースのFW久保建英(15)が、Jリーグ選抜の一員として先発、フル出場したが、無得点に終わった。

 真っ赤なユニホームを着た久保は、開始わずか40秒で、いきなり輝きを放った。左サイドでボールを持つと、立ちはだかるDF3人をドリブルで抜きにかかった。巧みなステップで2人を抜き去ったが、3人目のDF阿部海大(17=東福岡)に体をぶつけられ、ボールはゴールラインを割った。それでも、身長で13センチ上回る181センチ、体重も13キロ上回る71キロと大柄な、年上のDFに最後まで食い下がった。

 直後の前半2分、今度は右サイドから縦パスが出ると、DFの裏に一気に抜け出した。判定はオフサイドだったが、今度はスピードで見せた。同9分には、中央からドリブルで前進し、ペナルティーエリア内に鋭くパス。藤本寛也(17=東京Vユース)に通り、ゴールこそならなかったが、決定機を演出した。前半10分過ぎには、後方から「タケ!」と声がかかり始め、Jリーグ各ユースチームの混成チーム、しかも最年少ながら、攻撃の中心としてピッチに立っていた。

 久保は後半、2トップの右から右MFに1列、ポジションを下げた。すると同9分、右サイドから逆サイドに1発でパスを通すと、オーバーラップしてきたDF青山夕祐(17=名古屋ユース)が、痛烈なシュートを放った。久保は右からドリブルで仕掛けたり、機を見ては中に入り、左右にパスを散らすなど、前線で攻撃の起点となった。周囲にパスはもちろん、ポジションの修整など、頻繁に要求した。

 自軍の選手が高い位置でボールを持つと、久保は右サイドから中に入り、ゴール正面に顔を出すなど終始、攻撃への意欲を見せ続けたが、決定的なパスは回ってこなかった。ロスタイム2分過ぎには中央でボールを持ち、ゴール前でFW平墳迅(17=清水ユース)にスルーパスを通したが、GKに阻まれた。

 試合は日本高校サッカー選抜が大勝した。前半21分にFW町野修斗(17=履正社)のゴールで先制。後半1分にMF鳥海芳樹(18=桐光学園)が2点目を決めると、同23分にはFW伊藤龍生(18=米子北)が、DFからGKへのバックパスを奪い、GKとの1対1から難なく決めた。同31分にも、MF松本泰志(18=昌平)の右からのパスを、FW安藤瑞季(17=長崎総合科学大付)が決め、ダメ押しした。

 久保は試合後、取材対応はせず、取材陣が待つミックスゾーンを通過する際に、会釈をして退場した。

 東京ユースでチームメートのMF平川怜(16=東京ユース)は、「久保選手とは同じチームなので、しっかりこれから、もっとお互いレベルアップしていかないといけない。(試合後に)具体的には、まだ話していない。話が出来たら」と反省した。【村上幸将】