高体連チーム代表で構成された日本高校選抜のFC東京GK広末陸(18=青森山田高)が、堅守でJリーグ選抜撃破に貢献した。高円宮杯U-18プレミアリーグ・チャンピオンシップと全国高校選手権の2冠に輝いた守護神は、前半9分や後半7分に好セーブしてチームを救い、得意のキックでも相手を敵陣に押し込めた。

 後半の残り2分で交代して“お役御免”となると、この試合の後に行われる浦和戦に備えていた鹿島サポーターから大きな拍手。「結果的に大差はつきましたけど、力は五分五分。技術があるJユースを相手に、僕たち高体連は強い気持ちだったり、球際の激しさで勝負した」と振り返った。

 当初はクラブでの活動を優先して欠場する予定だったが、高校選抜を率いる恩師の青森山田高・黒田剛監督(46)から追加招集の連絡があり、所属の東京も容認。前日17日に合流した。本番まで1度も全体練習に参加できなかったが「歓迎ムードでホテルに迎えてくれたので、とけ込みやすかった」。試合では、同じ名前のFW飯島陸(17=前橋育英高)に「リク!」と指示を送るなど、ぶっつけ本番と思えない適応能力でチームを最後方から動かした。

 東京ユースに所属する中学3年生、FW久保建英(たけふさ、15)にも得点を許さず、DF陣と連係してシュート1本だけに抑えた。「とんでもない技術を持っている」と評価しつつ「まだ体は中3なので。高体連の3年生が激しくいけば、まだ難しい部分はある」と思いやった。その上で「でも、これから日本を背負っていく存在ですし、守っていてドリブルやパスのテンポが日本人とは違うと思った。思わずDFの足が出ちゃうようなタッチのドリブルをしていたし、スルーパスも多く狙われた。今回はオフサイドが多かったですけど、もしタイミングが合ってきたら失点につながっていたかもしれない」と評価した。

 そんな久保らエリートを完封しての勝利。広末には感慨深さもあった。中学まで東京U-15深川に所属しており、かつてはJリーグの下部組織側の人間。しかし、ユースに昇格できず、青森山田高で成長してプロ契約をつかんだ。「Jユースに負けたくない思いで」2冠を獲得し、この日もJリーグ選抜を破ったが「そういった思いは今日で終わり。これからはプロとして(Jユース勢と)いい影響を与え合い、成長していければ」と節目の1日と位置付けていた。【木下淳】