1月11日午前11時11分、FWカズ(三浦知良、49)の契約更新がJ2横浜FCから発表された。史上初の50歳Jリーガー誕生が“内定”。05年の途中加入から13季目も、カズに「背番号11」が託された。

 ストライカーとしてはもちろん、必要とされる役割は他にもある。毎朝午前6時半には起床し、真っ先にクラブハウスに到着。終了後も最後まで体と向き合う。これは日本代表のエースとして活躍した20代の頃から変わらない。横浜FC奥寺康彦会長(64)は「他の選手が『カズさんだから出来るんだよね』って考えを持ってしまったら、もうおしまい」と話す。同じことはできなくても、身近な“参考書”を見聞きする効果を期待する。昨夏まで練習開始15分前までスマートフォンと向き合っていた選手もいた。だが、カズの背中を見て改心。チーム成績も一時は17位と低迷したが、J1昇格プレーオフ圏内(6位)に勝ち点6差の8位。4年ぶりの1ケタ順位は、選手の自信も導いた。

 05年にはシドニーFC(オーストラリア)に期限付き移籍し、クラブ世界選手権(現クラブW杯)出場。12年にはフットサルFリーグ北海道に選手登録して出場。フットサル日本代表でのW杯出場にも、クラブが背中を押した。奥寺会長は「マスコミの人もカズを通して、横浜FCを発信、アピールしてくれている。これもすごく大きい」。日本、ブラジル、ドイツ、フランスなど世界各国に「横浜FCカズ」が認知され、経済効果も生んできた。

 50歳の誕生日に迎えるJ2開幕松本山雅FC戦(26日、ニッパツ)は、1万5000人収容の同会場でクラブ初の前売り券完売となった。「一番良いのはカズがゴールを決めて勝つこと」と同会長。サッカー史上最大級のバースデーパーティーまで、あと2日だ。【鎌田直秀】