千葉・市船橋高から加入した、湘南ベルマーレDF杉岡大暉(18)が、高卒新人ながら開幕スタメン、フル出場を果たし、完封デビューを飾った。

 杉岡は、取材陣から開幕スタメンデビューを果たした思いを聞かれると「本当に簡単には勝てないし、厳しい世界だと思った」と真摯(しんし)に振り返った。その言葉とは裏腹に、守備では相手のロングボールやドリブルでの仕掛けなどに冷静に対処し、体を張った守備で封じた。一方、前半8分、35分、後半44分には、果敢なオーバーラップから攻撃参加。前半8分、後半16分には前線にロングフィードを送り、攻撃の起点となった。

 落ち着くことが出来た理由について聞かれると「落ち着いてやるのが、自分の強みだと思う。心の準備が出来ていたのが出た。選手権(全国高校サッカー選手権)も経験していたので結構、慣れていた。すごい緊張はしなかった」と淡々と答えた。

 心の準備が出来ていた裏には、市船橋高の同期から受けた刺激があった。J1アルビレックス新潟入りしたMF原輝綺(18)が、25日の広島戦でクラブ史上初の高卒開幕スタメンデビューを飾っていた。「かなり意識しました。先にJ1でデビューしていたし、評価も高かったので負けていられないと思った。試合前に連絡したら、あいつは本当に緊張していて…そりゃあ、そうだろうなと思いました。LINEのやりとりをして、刺激を受けて今日を迎えました。刺激し合える仲間がいる。チームを離れても切磋琢磨(せっさたくま)してやっていける」と、原に感謝した。

 試合後は「公式戦ならではのスピード感、寄せの速さを感じた。もっと判断のスピードを上げないと」と反省が口を突いて出た。曹貴裁監督(48)からは、試合後に「もっと、点を取った後に攻めていかないとやられるぞ」と注文を付けられたという。「勝って、自分自身、浮かれていた部分があった。(勝った後に注文を付けてくれる)監督は少ないと思うので、より強くなれるかなという実感があった」と気を引き締めた。

 湘南ベルマーレでは、静岡・東海大翔洋高から01年に加入したMF鈴木良和(3月10日の横浜FC戦。1-0。フル出場)、千葉・八千代高から02年に加入したDF中島崇典(現J3鳥取。3月3日の川崎フロンターレ戦。1-1。フル出場)に続く、高卒新人の開幕スタメンデビューとなった。「開幕スタメンは1つの目標。これに満足せず、日々、ここから日本を代表する選手に成長したい」と意気込んだ。

 自身が記念すべきプロデビューを開幕スタメンで飾ったこの日、横浜FCのFWカズ(三浦知良)も、50歳で開幕スタメンを果たした。今後、直接対決の可能性もあるが「本当に憧れの選手だし、日本サッカー界を代表する選手。チャレンジしたい。しっかり戦って遠慮することなくやりたい」と強い意欲を見せた。【村上幸将】