湘南ベルマーレMF菊地俊介(25)が、後半に値千金の決勝弾を決め、チームを開幕戦勝利に導いた。

 後半21分、菊地はFW下田北斗(25)の右CKをゴール前で待ち構え、右足でゴールに流し込んだ。FWジネイ(33)が相手守備陣を引きつけ、その裏でフリーの状態でボールを受けて決めた形は、前日25日の練習で繰り返した、そのままだった。「昨日の(練習の)形で、ジネイがうまく僕のマークをブロックしてくれて、完全に…ビックリするくらいフリーになった。きたと思った」と喜んだ。

 曹貴裁監督(48)からは、開幕前に「ボランチ2人で10点、決めてくれないと上には上がれない」と言い渡された。「プレシーズンから、たくさんゴールを決められて、すごく調子良く出来ている。今日は自分が試合を決めるつもりだった。1点1点、積み重ねていければ…1人で10点、取るくらいのつもり。毎試合、毎試合、チャンスがあればゴールを取っていくだけ」と笑みを浮かべた。

 ゴールへの高い意識と、今季にかける決意の裏には、悔しい昨季がある。16年3月24日の練習中に右ひざを痛め、前十字靱帯(じんたい)損傷で全治8カ月と診断された。同10月の大宮戦で復帰も、その試合でJ2降格が決定。ほぼ1年を棒に振った上、ジュニアユース時代に在籍した古巣に突き落とされた現実は、菊地にとって、あまりにつらいものだった。

 その上、主軸を担った選手がチームを離れた。07年から約10年、在籍したMF菊池大介(25)が浦和、DF三竿雄斗(25)が鹿島へ移籍した。菊地は「本当に昨年はチームに迷惑をかけたので、1年を通して試合に出て、チームに貢献したい」と、エースとしての自覚を持って今季に臨んでいる。

 その菊地も、高卒新人で開幕スタメン、フル出場を果たしたDF杉岡大暉(18)には「すごい堂々とプレーしていた。後ろにいて頼もしい存在」と惜しみない賛辞を送った。自身、日体大から加入した14年3月2日のJ2開幕戦・モンテディオ山形戦に先発し、後半36分までプレーした。「自分も大卒1年目の開幕戦に出させてもらいましたけど、高卒で出るって、ちょっと考えられないくらいすごいと思うし、試合前も全然、緊張していなかった」と、自身の経験と比較し、杉岡がいかに新人離れしているかを強調した。【村上幸将】