横浜FCのFWカズ(三浦知良)が新たな金字塔を打ち立てた。50歳の誕生日に迎えたJ2開幕松本山雅FC戦に先発出場。自身の持つJリーグ最年長出場記録を50歳0日に更新した。2トップの一角として後半20分までプレーし、シュート1本に終わったが、1-0の勝利に貢献した。

 スタンドからは、カズの長男良太さん(19)も熱い視線を送り、開幕戦勝利に拍手を送った。

 「サッカー選手のカズと、お父さんとしての三浦知良は、別の人柄です。ピッチに立つとすごい人ですけれど、家では冗談ばかり言って、みんなを笑わせてくれますし、威厳のあるお父さんとは違う。自分たち兄弟の長男みたいな感じ」

 4月からは大学進学が決まったが、一番喜んだのもカズだった。大人としての1歩として、昨年末には高級なカラオケ店に初めて2人きりで連れていってくれた。

 「お父さんのカラオケはサッカーにも負けていない。トシちゃんに郷ひろみさん…。その時も他のお客さんもいたのに、お茶を飲みながら自分と2人だけでずっと歌っていました」

 中1からサッカーを始め、昨年夏に父より早く引退した。中学まではサッカーに興味はなく、往年のプレーの記憶はほとんどない。プロ生活中心の父のため、家族旅行は夏と年末の毎年2回。夏は湘南地区の海でバーベキューをするのが恒例だ。

 「一番の記憶は東日本大震災復興支援のチャリティーマッチ。カズダンスを見て鳥肌が立ち、初めてすごい人だなと思った。夜は8時には寝るし、朝は6時半に起きてサッカー中心の生活。勉強を教えてくれることはありませんでしたが、背中を見て人生を学んでいます。お母さんを悲しませるなということと、人に迷惑をかけるな、犯罪はするなというのが父との約束。今から普通のお父さんになっても、息子として対応できないので、死ぬまでサッカーを頑張ってほしいです」

 試合後は家族みんなで集まり談笑。男同士で固い握手を交わした。【鎌田直秀】