3年ぶりのJ1制覇を狙うガンバ大阪が、執念ドローで勝ち点1をつかんだ。ホームで迎えた開幕ヴァンフォーレ甲府戦は1点を追う後半46分、MF今野泰幸(34)がMF遠藤保仁(37)のFKを頭で合わせ、22日のACLに続く公式戦2戦連発弾で1-1の引き分け。50歳のカズが脚光を浴びたこの日、2人合わせて71歳の元日本代表勢も底力を発揮した。

 敗色濃厚となった後半46分だった。遠藤が入れたFKを、ゴール前で競り合いながら今野が頭で力強く合わせた。ACLに続く公式戦2試合連続ゴールは値千金の同点弾。昨年もJ1で4得点、この日で通算44点目を刻んだベテランは胸を張った。

 「いいボールが来たし、フリーだった。GKも前に出ていた。ヘディングで負ける気がしなかった。シンプルに上げてくれれば決められると思っていた」

 元日本代表のあうんの呼吸だった。プロ17年目の今野とプロ20年目の遠藤。遠藤が「どうにか1点をという気持ちだった」と心を込めて蹴ったボールを、今野が決めた。50歳で現役を続けるカズにはまだまだ及ばないが、2人合わせて71歳のベテラン勢はJ1優勝候補のクラブで堂々の中心を担っている。

 今野と遠藤は普段から大の仲良しだ。試合前のパス交換の練習では決まってペアを組む。今野自身、遠藤には絶大な信頼を寄せる。12年に17位となり「あれほど辛いことはなかった」というJ2降格を味わった。思いをため込むタイプだった今野は当時、東京から移籍1年目。降格させてしまった悔しい気持ちを遠藤に打ち明け、新たなスタートを切れた。

 過去4連勝中だった甲府に引き分けて、開幕戦での未勝利は6年連続に伸びた。3年ぶりの優勝へ、長谷川監督は「試合の最後の最後で追いついて、選手はすごく戦う姿勢を出してくれた」と褒めたが、遠藤は「残り33試合で、こういう試合を勝ちにつなげていかないと」と言い、今野も「正直悔しい」。ACLから中3日で甲府戦を終え、次は再び中2日でACL済州戦。「勝」をスローガンに掲げたG大阪には試練の道が続く。【小杉舞】