名古屋グランパスから京都サンガFCに新加入した元日本代表DF田中マルクス闘莉王(35)が移籍後初ゴールで、チームを今季初勝利に導いた。

 0-0の後半45分。ペナルティーエリアの中で後方からのボールに反応し、反転してシュート。「移籍して、京都の街で何もできていなかった」。得点を確認すると「強いチームにするためにはベンチワークも必要」とベンチ横まで進み、スタッフや控え選手と抱き合った。

 前半は思い通りの攻めができず、布部陽功新監督(43)は後半17分までに3人の交代枠を使い切っていた。闘莉王はその後、右脚に痛みが出て、満足に走れない状態。指揮官は「下げる(10人で戦う)か下げないかと考えていたら(闘莉王)本人が『いける』と。当初から準備していたシステムだった」と闘莉王をDFラインから最前線に上げる選択をした。

 決勝点はロングボールから。頭で軌道を変えて闘莉王のゴールをアシストしたFWオリスは「(プレー前に)会話はしていないけれど、闘莉王は非常に経験値が高い」と“即席コンビ”で役割を全うした。

 京都でつかんだ移籍後初勝利にも、闘莉王は厳しい言葉を並べる。「勝ったけれど、不細工な試合。あっちの方がきれいなサッカーをしている。まだ伸びないといけない」。次節は12日福岡戦(レベスタ)。1つの勝利に満足してはいられない。