かつてJ1も制覇した営業マンは「本当に、人に恵まれていると思います。ここでしっかり長く働いて、求められる結果を出していきたい」と決意を口にする。毎年、100人近くが引退や戦力外で「元Jリーガー」となる。そんな中、新たなセカンドキャリアを身をもって示すため、千代反田さんはビジネスの最前線に立つ。【八反誠】

 ◆千代反田充(ちよたんだ・みつる)1980年(昭55)6月1日、福岡県生まれ。東福岡高2年時には史上初の高校3冠を達成。筑波大から03年にJ2福岡入りし05年のJ1昇格に貢献。新潟、名古屋で10年J1優勝、磐田、J2徳島でも13年に昇格を経験し14年に引退。家族は妻と長男。現役時代は183センチ、80キロ。

 【解説】日本プロサッカー選手会は就職支援などセカンドキャリアのサポートを続けている。13年から無料職業紹介所に登録し、相談に乗っている。担当する選手会マネジャーの小林慎一朗さんは、千代反田さんもサポート。「あれだけの実績なので、普通は指導者になる。10年以上やった選手がアサヒビールさんのような一流企業に入るのは特別な例。ただ、ああいう一流選手はビジネスの世界でも輝ける。その一例となってくれれば」と期待を寄せている。

 14年にJ3が創設され、拡大路線のJリーグは3つのカテゴリーで現在54ものクラブがあり、選手が第2の人生で悩む例は増えている。実際には下部カテゴリーの選手の方が、より切実に引退後について考えており「安定したところに行きたい」と、最近は警察や消防など公務員を希望する例も多いという。