設立4年目を迎えるサッカーJ3が、東日本大震災から6年となる「3・11」に開幕する。震災によるチームの解散危機を乗り越えた福島ユナイテッドFCは、アウェーでYSCC横浜と対戦(ニッパツ)する。今季から主将に就任した地元いわき市出身のMF渡辺匠(34)は、悲壮な覚悟と決意を口にした。震災を経験した福島を本拠地に置くJクラブとしての在り方や、震災が起きた「3・11」に開幕のピッチに立つ意味を、熱く語った。

 運命の開幕戦を迎える。東日本大震災から6年。福島で産声を上げたチームに、渡辺は誇りを持ってプレーしていた。

 渡辺 この福島のエンブレムをつける意味合いは、他のクラブにいることより大きいと思っている。あのつらい時期を乗り越えたからこそ、今がある。震災の時にチームにいなくても、当時のことを理解しながら、このクラブに在籍する意味を考えなきゃいけない。そんな理念を持ったクラブが、「3・11」当日に試合をするっていうことは、意識せざるを得ない。大事にしないといけない1戦。

 「3・11」に開幕する意味を渡辺は重く受け止めていた。

 渡辺 「3・11」だから勝つ、負ける、そんなことよりも、自分たちの姿で応援してくれる人たちに何かを感じてもらいたい。福島ユナイテッドの存在で、何かを与えられるチームになりたい。プロスポーツの選手としてはそれが当たり前。それが使命。勝ち負け関係なく、見せていく。