ベガルタ仙台MF梁勇基(35)が、東北にもう1度灯をともす。クラブは9日、復興応援試合となる明日11日のホーム・ヴィッセル神戸戦に向けて練習を行った。梁は「勝つ姿を見せたい」と静かに闘志を燃やした。

 「ミスターベガルタ」は、歯がゆい思いを明かした。「11年と12年に比べると、(その後の)4年間は仙台に対して力になりきれていない部分があるんじゃないかと思う」。11年は4位、12年は2位に大躍進。東日本大震災の被災地の「希望の光」になった。だが、その後はJ1残留が精いっぱい。もどかしさを感じ続けていた。

 明日で“あの日”から6年になる。当時を知る選手は少なくなった。在籍14年目と、仙台の酸いも甘いも味わった生き字引は、この神戸戦がターニングポイントになることを期待する。「実際、今回初めて(この時期に)戦う選手もいる。仙台で戦う意味、責任を感じられると思う」と話した。

 神戸は95年に阪神・淡路大震災で大きな被害に遭った。梁も地元大阪で被災。被災地クラブ同士の対決によって「(震災)経験者たちに、何か伝わればいい」。その先に見据えるのは、勝利と強い仙台を取り戻すこと。「今年こそ上位に食い込んで、仙台と東北を元気づけられたら」と誓った。【秋吉裕介】