清水エスパルスはホームで昨季王者の鹿島アントラーズに2-3。2点をリードしながら、後半29分から3失点で逆転負けした。

 試合終了の笛が鳴り響くと、スタジアムが悲壮感に包まれた。選手は倒れ込み、サポーターは立ちつくした。主将のFW鄭大世(33)は言った。「悔しいですね。やっぱり…。『気を付けよう』と言っていたところでやられました」。

 後半途中までの試合運びは、完璧だった。前半41分、ロングボールを鄭が落とし、相手DFのクリアボールを体に当てたMF金子翔太(21)が、先制のJ1初ゴールを右足で決めた。後半26分には、ショートカウンターから前線で粘った金子がパスを出し、新背番号10のMF白崎凌兵(23)が冷静に追加点を奪った。両得点に絡んだ金子は「組織的な守備はできていて、残り15分までは作戦通りだった」と振り返った。

 その3分後の同29分から、「悪夢の11分間」が始まった。FKから1点を返され、一気に相手の勢いにのまれた。ピッチ中央に全員で集まり「ここからが勝負だ」と確認したが、同34分、40分と立て続けに決められた。すべてセットプレーとスローインを起点に、クロスを上げられて奪われた。今季初得点も喜べない白崎は「相手は2点目を取ってから前に来て、圧力を抑えきれなかった」。小林伸二監督(56)は「メンタルの隙があった。90分間、やり続けることができなかった。J1の王者に(決定機を)仕留められてしまった」と反省した。

 だが、今後も戦いは続く。次節の4月1日には磐田との静岡ダービー(エコパ)が控えている。DF犬飼智也(23)は「隙を作ったら、J1ではやられる。気持ちを切り替えて、ダービーへ準備したい」。J1の高い壁は、全員で崩すしかない。【保坂恭子】