湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)は、この日の試合が、右ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷で全治8カ月と診断され入院中のFW高山薫(28)の気持ちを、選手みんなでくむ試合だったと語った。

 曹監督は会見の最後に、記者から「高山選手に代わる攻撃的選手のめどは立ちましたか?」と聞かれると、高山が入る2列目左のポジションに、今季ベンチ入りすらしていなかった新人MF石原広教(18)を大抜てきしたことに触れた。石原のプレーを見て「薫が初めてピッチに立った時と、石原は本当にそっくりです。そういう意味で今日は見ていました」と感慨深げに語った。

 東京V戦でデビューした石原と、自身がアシスタントコーチだった11年に専大から入団した高山が、同3月6日の岡山との開幕戦に途中出場した姿が重なって見えたことに、高山から石原に継承されているものがあると感じた。「薫も手術して今、入院していますけど、キャプテンとして薫がやってきたことを、今日のように魂を引き継いでやってくれるんだと思いました」と、高山の離脱から、チームが1歩前進したことを強調した。

 その上で、曹監督は「1番、本当に苦しくて、チームのために思っているのは高山なので。あいつがピッチに姿を見せないという現実を、選手として、みんな、その気持ちをくんでやるというゲームだったと思う。薫にも、僕からおめでとうと言ってあげたい」と高山にメッセージを送った。【村上幸将】