INAC神戸のなでしこジャパンMF中島依美(26)が1ゴール1アシストで存在感を示した。

 前半ロスタイムに右CKから、右足で正確な浮き球を供給。DF三宅の先制ゴールにつなげると、後半20分には1度ポストに跳ね返されたボールを、再度右足でゴールに打ち込んだ。圧倒的な存在感を示し「前半の入りも良かったけれど、取り切れていなかった。結果を残せたのは良かったし、無失点というのも良かった」と中盤らしく攻守両面を喜んだ。

 11日には、なでしこジャパンの一員としてコスタリカとの練習試合(熊本・えがお健康スタジアム)にフル出場。中3日でこの日も90分間プレーし「息が上がるのが、いつもより多少早かった」と漏らした。それでも「出たくても出られない人がいる」。代表でも主力の立場を確立する26歳は頼もしかった。

 前日14日に震度7の大地震から1年を迎えた熊本では、再度震災について考えた。遠征中には選手全員で被災者の話を聞く機会があった。「私たちが直接被害が大きかったところを見ることはなかったのですが、仮設住宅もまだまだたくさんある。復興はまだまだと聞きました」。ユニホームの胸にある「黒糖ドーナツ棒」を製造する株式会社フジバンビの本社も熊本市。「いつもお世話になっているところ」と被災地の企業のサポートに感謝しつつ「スポーツを通じて、しっかり(思いを)返していきたい」と意気込む。

 チームは開幕3連勝を飾り、次節22日に敵地で新潟と戦う。松田監督からは「火曜日に代表で90分やったけれど、それ(いいパフォーマンス)を続けて出してくれた。彼女の運動量は、チームのためになっている」とたたえられた上で「リズムが悪いときも、その波にのみ込まれずに引っ張っていって欲しい」と1段階上の要望を受ける。世代交代が進むINACだが、中堅の意地も見逃せない。