湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)は、FC岐阜との撃ち合いの末、引き分けた試合後「戦術的なことなど、改善しなければいけないことはあると思うんですけれど、見ている人もどっちが勝つか分からない、お互いに点数が入る中で、非常に行ったり来たりしながらのゲームになった。ショーとしては悪くなかったと思う」と語った。

 試合後の主な一問一答は以下の通り

 総括 お疲れさまでした。ホームゲームが今年3試合目ということで、なかなかホームでやっている感覚がないんですけど。我々がリードし、逆転され、追いつき、また取られて、追いつくというような…3-3でホームで分けたのは、僕の記憶としでは(12年に就任後)監督として多分、初めてだと思う。1点先に取って、相手がボールを支配して動かしてくる中で、こちらとしては、足を止めずにプレスバックして奪ってカウンターで(という戦い方)。後半、ちょっと僕の交代選手の中での戦術の伝え方というか…後半に狙っていたことをやろうとしたんですけど、選手が自分たちでもう少しプレスに行って、相手の球を奪いたいという感じがあって、それに向けて作ったんですけど、交代選手のチグハグさが失点につながったと思います。この間、雑誌でエイバルの乾の監督(メンディリバル監督)のコメントを読みましたけども、攻撃に行くということは後ろの人数が少なくなるということ。攻撃的に行くことが失点が少なくなるという考えもありますし、逆に攻撃的に行くことで失点が増えていくこともある。それは僕の中である程度、許容しないといけないと思う。今のJリーグでは、失点の少ないチームが上位に行きますけども、ただ単にゲームが流れて、失点が少なくて1-0で勝っていく試合よりは、2-1、3-2、4-3みたいな試合が全体的に増えていく方が、戦術的な面を別にして、サッカーの面白みが増すんじゃないかと思う。今日の勝ち点1は、我々にとってはいろいろな勉強もできた勝ち点1だし、岐阜さんのショートパスに翻弄(ほんろう)されちゃったところもある。顔を洗って、次の大分トリニータ戦に臨みたい。

 -試合途中で4バックに変えた

 負けていたので、相手の両サイドに張っている選手と0トップを、5人で抑えてもしょうがないと思った。(MF秋野)央樹は(昨季所属した)柏レイソルでも、あのシステムをやり慣れているし、ボールを落ち着かせて散らせた方が得点になるという感じがあった。ボールが動き、相手のゴールに迫ることが出来た。あいつも試合に出られなくて、悔しい思いをしていたと思う。しっかり貢献してくれた。DF石原(広教)はミスパス1回、(後半40分の同点)アシスト1回とエレベーターみたいなヤツですけど、FW表原(玄太)含め(途中出場の)3人とも力を注いでくれた。

 -3失点した守備面は

 相手のやりたいことに対しての、個人の対処に課題が残るかなと思う。フタをするためには、人数をかけて守るのが大事だと思うんですけど、僕は人数をかけないで1対1だったり(マークの)受け渡しだったりで最後の局面を守れなければ、話にならないと思う。次への課題になると思う。

 -石原はミスの後、下を向かずにアシストした

 僕は、あのパスは、やっちゃいけないと思っています。(DFが)4枚で自分が高い位置にいる時に、準備が出来ていないヤツに横パスを通すのは、ドイツのジュニアユース、ユースの指導でも1番、やっちゃいけないパス。デンジャラスしかないし、パスが通っても決定的なチャンスには、つながらない。大いに反省してもらいたいけども、彼はまだJリーグで2試合目の選手で、自分のミスを脳裏に残さなければいけない年でもありますし、そういうところを含めて試合に出場させているのは僕なので。仮にあれで負けていたとしても、本人を怒るつもりはなかった。

 -岐阜と戦い、勉強になった部分は?

 多分、今日、3点取られたんで…取られたら守備が悪い、取ったら攻撃がいい、という単純なものだと思うんですけど、僕は単純なものだと思っていなくて。質の話で言うと、守備では、絶対にこのポジションでいいというふうに(ポジションを)取らなければいけないけれど、大体、このポジション…8割くらいで、というのが多かった。相手がミスするから、チャンスになることもありましたが。やられないで3-0で勝って「我々はいい守備が出来たな」と言うのは簡単だけれど、それはいい守備ではない。逆に3点やられたことで、100%(守備のポジショニングは)ここでなければいけないんだ、ということを学ばなければいけない、というところで勉強できたということ。本当は点を取られない守備をすればいいんですけど、我々は特別な選手もいない中で全体で協力してやっている。失点はない方がいいですけど、逆にあった後にチームがどう振る舞えるかが大事。来週、その温度を残しながら(22日の大分トリニータ戦に向けて)やっていきたい。

 この日、首位の名古屋グランパスがアウェーで徳島ヴォルティスと2-2で引き分けたため、勝ち点で並び得失点差で2位をキープした。その中、曹監督は、岐阜と互いに持ち味を出し合い、攻め合った試合を、日本サッカー界の現状をも踏まえ、前向きに捉えた。【村上幸将】