日本のサッカー史に名を刻むにふさわしい才能だ。あのメッシでも13歳で入ったバルセロナの下部組織カンテラに、特例の9歳で合格。11年9月から15年3月まで在籍し、12-13シーズンには30戦74発で得点王。一方、クラブは久保ら18歳未満の有望株を集めた際に違反があったと国際サッカー連盟(FIFA)から認定され、公式戦出場禁止。試合に出るため国内復帰し16年に東京でトップ登録されると、21世紀生まれの中学生Jリーガーとして最年少出場を更新した。

 そんな天才を今でもバルセロナは手放さない。18歳になり処分が解かれる19年6月の復帰を念頭に、あくまで個人的関係として久保のカンテラ訪問を容認。15年秋、16年春、最近では今年1月に久保はスペインへ飛び、カデーテ(15、16歳)Aの練習に参加した。日本に戻ってもなお、特別視される存在。かつての仲間からも「知性、スピード、得点力は今も並外れている」と絶賛された。最年少ゴールは時間の問題だった。

 U-20代表には初の2世代飛び級で招集され、ドイツ遠征中だった3月25日相模原戦を除く全4試合で先発するJ3では待望の得点が生まれた。「この調子で勝利に貢献したい」。身長は1年間で5センチ伸びた。4日前に入学式を終えたばかりの高校1年生の成長曲線は、とどまることを知らない。【中島万季】

 ◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、川崎市生まれ。11年に川崎Fの下部組織からバルセロナのカンテラへ。退団後の15年5月に東京U-15むさし加入。昨季は東京ユースに飛び級で昇格。昨年12月にはU-19代表に選出。家族は両親と弟。170センチ、63キロ。