浦和レッズがFW興梠慎三(30)のゴールを守りきり、FC東京を下した。

 前半14分に鮮やかなカウンターを決めた。自陣からMF柏木陽介(29)のパスを受けたFWラファエル・シルバ(25)がドリブルで敵陣内に進入。ゴール前に走りだしていた興梠に絶妙なスルーパスを供給した。興梠はDFを背負いながら、左足ダイレクトで飛び出してきたGKの右へ。「うまくタイミングをずらして打てたのでよかった」と振り返った。

 ただ後半は攻められる展開になり、選手らの表情に満足の笑みはなかった。ペトロビッチ監督の指示で後半からは最終ラインにブロックを敷き、2列目の興梠とFW武藤雄樹(28)が相手サイドバックのマークに。だが「うまくハマらなかった」と司令塔の柏木。

 劣勢に立ったことで最終ラインから攻め上がる東京に対し、前線からプレスをかけて奪い取る攻撃的なサッカーが消えた。シュートが2度ポストに救われる場面もあった。柏木は「内容が悪くても勝てるチームになった証だと思うけど、下手したら(今季の出来として)ワーストなんじゃないか。よくなかったところはよくなかったと受け止めたい」と満足しなかった。

 アウェーでは、浦和対策でときに試合前のピッチに水をまかなかったり、ボールが動きにくいように芝生を長く残したりされることもある。ただDF槙野智章(29)によれば「芝生も短くしてもらっていて、やりやすかった」という。環境も問題ない中でリズムを失ったことに、マークに入った武藤も「自分たちらしくボールを回して相手に脅威を与えることはうまくできなかった」と反省の弁。決勝点の興梠も「レッズっぽくなかった。後半は押されてしまっていた」と笑みは少なかった。

 とはいえ11日にACLで上海上港に1-0で競り勝ってから、連戦で迎えた試合を勝ちきった。槙野は「正直に言えば疲れはあります。でも疲れているからこそやろうと話している」と力強い。

 ペトロビッチ監督の「決して美しくはなかったが、勝利する戦い方を考える」との言葉どおり、貴重な勝ち点3を手にした。