初出場のいわきFC(福島)が、大勝で初陣1勝を飾った。FW高柳昂平(23)の先制を皮切りに前半だけで5点。後半は高柳がハットトリックを達成するなど3点を加え、ノルブリッツ北海道を8-2と圧倒した。現在のチーム体制になってまだ2年目。将来のJリーグ入りを目指す新鋭が、全国にその名を知らしめた。2回戦は6月21日、札幌厚別公園競技場で北海道コンサドーレ札幌と対戦する。

 天皇杯出場権をつかんだとうほう・みんなのスタジアムで、今度は記念の初勝利をもぎとった。いわきFCが圧巻のゴールラッシュ。後半45分に8点目を決めた主将のMF片山伸(24)は「非常にうれしいですね」と素直に喜んだ。9日の県代表決定戦では格上のJ3福島に2-0と完勝。その実力を証明してみせた。

 「点が入らない状況でも焦らずに点を取りにいった。我慢できた」と振り返る高柳が、前半24分に先制して流れを呼んだ。27、29分に追加点を奪い、わずか5分間で3点。前半終了間際には2点を加え、前線から積極的にプレスをかけ、攻めの姿勢を貫いた。

 12年に創設され、15年12月に米スポーツブランド「アンダーアーマー」製品を日本で展開する「ドーム」が運営会社を設立。チームの運営権を譲り受け、将来のJリーグ入りへ本腰を入れ始めた。16年は全国クラブ選手権を制覇し、県リーグ2部は全勝優勝して、今年から県リーグ1部に昇格した。16日の開幕戦は10-0と大勝。現体制2年目だが、Jチームが注目した新卒の有望選手もいる。

 元Jリーガーの田村雄三監督(34)は「あんまり良くなかった」と、風下の後半の2失点などに不満を見せたが「いわきFCを全国に知らせることができたのは良かった」と初陣1勝をかみしめた。県代表決定戦から先発を7人入れ替え、同監督は「2チーム分の戦力をつくりたいと思っている」。レベルの高い天皇杯で経験を積ませ、チームの底上げも図っている。

 初戦を突破し、公式戦で初めてJ1チームに挑戦する。高柳は「失うものはない。果敢に攻めていきたい」と高ぶる。大会プログラムの表紙は「これはお前達のジャイアント・キリングの始まりだぜ」と記されている。6月、北の大地でそれを体現する。【久野朗】