FC東京ユースFW久保建英(15)が、ついに日本のトップのカテゴリーの選手たちが立つピッチでプレーした。試合後の第一声に注目していたが、15歳とは思えない冷静な分析とシビアすぎる自己評価に、あらためて驚かされた。

 久保は試合後に、目指す今後の方向性について聞かれ、次のように答えた。

 久保 今の時点で、自分は他の同年代の選手より、半歩くらい前には、いれているかなと思っているので、スタートが早いだけじゃなくて失速せずにドンドン上にいきたいと思います。

 04年3月13日の磐田戦で東京ヴェルディFW森本貴幸(現川崎フロンターレ)が記録した15歳10カ月6日に次ぐ、史上2番目の15歳10カ月29日でのトップチーム出場を果たした現在地を、半歩先としか捉えていなかった。

 15歳5カ月1日のJリーグ最年少出場記録を打ち立てた16年11月5日のJ3長野パルセイロ戦、2世代を飛び越えU-20(20歳以下)W杯韓国大会日本代表メンバーに選出された際など、日本サッカー史に新たな1ページを刻んだ久保を取材してきた。自分の考えをしっかり持ち、言葉に出来る15歳はなかなかいるものではないと驚かされた。この日は、J1とJ3との違いを分析し明快な言葉で説明した。

 久保 同じJリーグでも、J1はボールスピード(が速い)だったり、1タッチのプレーが明らかにJ3よりも多かった。J3の方が球際(でのプレー)が多くて…でもJ1は、スルスルかわしていくので、なかなかボールが取れない。

 冷静な分析の一方、やらなければいけないプレーも、明確に自覚している。結果的にFKを獲得した、同39分にドリブルで仕掛けDFに倒されながらもシュートを放った場面について聞くと、こう答えた。

 久保 あそこで仕掛けなかったら、FWじゃないと思っていて。(DFが)来ているのは見えていて「倒れるな」というのは感じたんですけど、どうせ倒れるんだったらシュートを打っておこうと思って打った。

 U-20日本代表に選出された際、久保は将来の目標について「日本を代表できるような選手になるだけでなく、世界でもトップレベルの選手にはなりたい」と語った。世界トップレベルという目標の前には、Jリーグ史上2番目の速さでのトップデビューも、リードは半歩前…。15歳ながら、久保は世界基準でサッカーを考えていることを、あらためて再確認した。【村上幸将】