頼れる男の戦線復帰が近づいてきた。ベガルタ仙台MF中野嘉大(24)が4日、チームに部分合流を果たした。キャンプ中の2月18日の練習試合で左膝内側靱帯(じんたい)を損傷して以来、約2カ月半ぶりにチームメートと汗を流した。「みんなと練習できて、復帰に向けて気持ちも切り替えられた」と語った。

 状態は「半分くらいまでは来ている」。リハビリ中は、ランニング以外にも上半身を鍛えた。細身な体形と驚異の走力から、中野を「カモシカ」と評していた渡辺晋監督(43)は「太くなったな。ケガしたことをプラスに考えて、羽ばたこうとする思いでリハビリしていた」とねぎらった。

 同監督が「ポジションをつかみかけていた」と言うように、現在は新人DF永戸勝也(22)が主戦場とする左ウイングバックのレギュラー最有力候補だった。キャンプ中の練習試合では得意のドリブルで駆け上がり、クロスを放って好機を演出する場面が目立った。順調にいけば、仙台デビュー戦は最短で今月下旬以降の見通し。それでも中野は「(試合を見ていて)まだ流れの中で主導権を握れていない。入った時にアクセントになりたい。ドリブルだったりで、アイデアを見せたい」と再奪取に意欲を示した。指揮官は、アウェー大宮戦の翌日15日に行う練習試合に出場させる方針を明言した。ベガルタの翼を担うことを渇望された男が、ついに離陸態勢に入る。【秋吉裕介】