「新潟愛」を持つ新監督がチームを残留に導く。アルビレックス新潟の呂比須ワグナー新監督(48)が15日、聖籠町のクラブハウスで就任会見を行った。呂比須新監督は新潟に知人がいること、現役時代の02年に当時の反町康治監督(53=現J2松本山雅FC監督)からオファーを受けたことなどを明かし、新潟への親近感を口にした。今日16日から練習などで陣頭指揮を執り、20日のホーム北海道コンサドーレ札幌戦(デンカビッグスワンスタジアム)での初采配に向けて始動する。

 呂比須新監督は穏やかな口調の中に、強い決意をにじませた。1時間以上にも及ぶ会見で、「合計勝ち点38以上が目標。ここから12勝以上を目指す」と最下位の18位に沈んだ状況から、残留の目安となる数字を明らかにした。その上で「サポーターの力もすごく大切。1つになって応援してもらいたい」と訴えた。

 会見前日の14日はホーム浦和レッズ戦を観戦。1-6の大敗に「少し残念だった」と言いながらも、それ以上の感動をもらった。試合後、場内を1周して観客にあいさつする選手に対し、スタンドからは激励の拍手と応援歌が送られた。「普通だったらブーイング。それでも最後まで応援してくれた。あんな光景は見たことがない」。サポーターの熱さと温かさに触れたことも、エネルギーになった。

 新潟には縁を感じている。福岡に所属した02年に引退したが、当時の反町監督から新潟移籍の打診を受けた。すでに引退を決めていたが、97年平塚(現湘南ベルマーレ)でともにプレーした戦友からの誘いがうれしかった。また、夫人の親戚が新潟在住であることも明らかにし、「新潟のおいしいものを、よく送ってもらうんです」。「新潟」という地名、クラブは「いつかは日本で監督をしたいと思っていた」という希望リストに盛り込まれていた。

 目指すサッカーは「全員で動いてスペースを突くスタイル」。元日本代表FWらしく、「オレが決めてやる、という選手が出てきてほしい」と得点への貪欲さを求めた。何より「監督としてチャンスを与えてくれた新潟に貢献したい」。早くも芽生えている新潟愛が、チームを立て直す原動力になる。【斎藤慎一郎】