アビスパ福岡の元日本代表MF駒野友一(35)が、湘南ベルマーレ戦で2アシストと、貫禄のプレーでチームの2位浮上に大きく貢献した。

 まずは前半ロスタイム4分。駒野は湘南ゴール前で得たFKをすぐには蹴らず、何度もキックフェイントをかけた。ゴール裏の湘南サポーターからは厳しい声も飛んだが、意に介さず、湘南DFをキックフェイントで何度か揺さぶった後、鋭く蹴った。そこに跳び込んだMFジウシーニョが、頭で合わせて決めた。

 攻守ともに組織がしっかりしている湘南の守備網を幻惑し、そこに出来た一瞬のブレ、スキに蹴りこんだ。駒野は「練習通りです。相手のことも考えて、相手の良いところも、うまく利用して…そういう練習もしていた。はまって良かった」と振り返り、控えめに笑みを浮かべた。

 前半は、湘南に一方的に攻め込まれた。相手がシステムを前節から変えてきたため「自分たちの方が、どうしていいかドタバタして何も出来なかった」ほど戸惑う中、先制点を演出した。「自分たちには大きかったし、相手にはダメージが大きかった。あの1点は効いた」と語ったように、この1点でチームを立て直した。

 2点をリードした後半42分には、右からゴール前にクロスを上げてMF城後寿(31)のダメ押し弾も演出した。「2-0で勝っていたし、残り時間もちょっとだった。中にも人数がいた。あの辺という感じで上げて、ダメ押し点につながって良かった」と淡々と振り返った。

 16年にJ1のFC東京から福岡に期限付き移籍し、12試合に出場して1得点を記録した。そして今季、完全移籍した。「自分の持っている力を、グラウンドで表すことが一番大事。若い選手に伝えていくことも大事。一番大事なのは、勝利のために戦うこと」と今季への思いを語った。その上で「自分たちでボールを支配してゲームを進めることが、まだ少ない。守ってカウンターだと、J1では攻撃の形が出来ない。J1に上がった時のための形を、取り入れていく」と、戦えるチームとしてJ1に復帰することを誓った。【村上幸将】